北陸新幹線、映画ロケ呼ぶ

関東から日帰りできるという北陸新幹線のメリットをいかした自治体の活動に注目だ。話題性が高く、ロケ地巡りとして多くの観光客が期待できる「映画」招致に力を入れている自治体の日経新聞(2016年7月5日)の記事を紹介。

映画やテレビドラマの撮影場所として北陸が注目を集めている。北陸新幹線開業が追い風となり、ロケの件数は急増。作品公開後にロケ地を訪れる観光客の数も増加しており、ロケを支援するため各地に設けられたフィルムコミッション(FC)は誘致に力を入れる。「新幹線開通の影響は大きい」。富山県がロケ誘致のために県庁内に立ち上げた富山県ロケーションオフィス(TLO)を担当する県観光・地域振興局観光課主幹の前佛聡さんは話す。
2013年度は映画撮影6件などドラマやコマーシャル、雑誌の撮影なども合わせて計34件だったTLOが扱ったロケ件数は、年度末に新幹線線が開通した14年度には映画17件を含む計74件と倍増。昨年度も映画8件など計62件と好調だった。東京とのアクセスが良くなり「撮影のスケジュールが組みやすくなったと聞いている」(前佛さん)。新幹線の映像も貴重なコンテンツとなり、問い合わせの数も増えているという。
さらに、一役買ったのは、新幹線開業を見越して、TLOが業界関係者向けに作った「ロケーションガイド」だ。県内の新幹線停車駅周辺でこれまで映画が撮影されたロケ地の紹介に加え、撮影許可が必要な警察や消防署、宿泊施設や弁当手配に至るまでの連絡先を掲載。冬場の富山ロケでの服装の注意や月ごとの日照時間などの情報も盛り込んだ「虎の巻」もロケ増加の秘訣のようだ。
ロケが行われることで地元にもたらすのは、まずはスタッフらまとまった数の宿泊や食事といった直接的な経済効果。「むしろ、勝負となるのはその後。ロケ地に人を呼び込むなど、地元の活性化に結びつけたい」と前佛さんはいう。その成功例が、今年1月に公開された映画「人生の約束」だ。作品の舞台となった富山県射水市新湊地区では昨年3~5月にのべ約1カ月にわたって撮影が行われた。
ロケ地となった内川沿いを巡る遊覧船の乗客は公開された今年1月から5月で約8700人と前年同時期の2.3倍に増加。「川の駅新湊」の来場者数は2万8000人と同1.7倍に上った。地元では映画に登場した空き家をカフェとして整備する動きもあるという。
県境を越えた結びつきも始まっている。来年公開予定の映画「追憶」のロケでは、TLOが石川県の輪島フィルムコミッションに協力を求めた。「富山にはないような風景が能登にあった。それぞれ声をかけて、補完していくことは大事。『追憶』の件はいいきっかけになった」と初の県外FCとの連携について前佛さんは振り返る。
「共同作業は心強かった」と話すのは輪島市観光課誘客推進室次長で輪島FC推進係の平正秋さん。ロケの段取りなどのノウハウを共有できたことが収穫だったという。
輪島で撮影されたNHKの朝の連続ドラマ「まれ」のロケ地にはいまだに観光客が訪れており、金沢から急行バスで一本という輪島にも新幹線効果は波及している様子。「ロケ後の地域振興の展開方法などを教えてもらいたい」(平さん)と、今後も交流は拡大していきそうだ。
今年3月公開の映画「ちはやふる」の舞台となった福井県あわら市もロケ地を観光資源として生かそうと模索する。同市観光協会が5月に企画したロケ地巡りツアーには40人が参加、東京や埼玉から駆けつけた人もいた。
「北陸新幹線効果の伸びしろはあると思う」と同協会の津田香由紀さん。映画の続編の製作も決まり、「登場人物の出身地とされているだけに、作品と『共存』していきたい」と期待をかける。

画像:北陸新幹線サイトから

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