コース料理に合う日本酒 ワインに学び高級店狙う

海外でも人気の日本酒。今回は、ワインのようにコース料理に合うよう製造・ブランディングした日本酒の記事を紹介。

永井酒造(群馬県川場村)は、コース料理に合わせて楽しむ日本酒のシリーズを開発、欧米の高級レストランを中心に売り込んでいる。フランスの三つ星レストランへの納入も決まった。現在は約3000万円の年間輸出額を2022年度に3倍を超える1億円に引き上げるのが目標だ。前菜にはシャンパン、肉料理には赤ワイン――。仏料理のコースでは、メニューに合わせ色々なワインが供される。この発想を日本酒に取り入れたのが「NAGAI STYLE(ナガイスタイル)」だ。
コースの幕開けは発泡性の「スパークリング・サケ」。欧米やシンガポールの約50店舗が採用する。続く魚料理には口当たりのよい純米吟醸酒、肉料理には重厚な「ビンテージ・サケ」。そしてコースの最後には濃厚な甘口でスイーツやチーズに合う「デザート・サケ」を用意した。
「海外でワインと同等の地位を獲得するには単品では勝負できない」と永井則吉社長は話す。一般的な日本酒はワインに例えると「白」になる。このため赤などにあたる日本酒の開発に取り組んだ。
最初に完成したのは発泡性のあるスパークリングだ。08年に完成した際、ちょうど来日中のスペインの高級レストランのオーナーシェフの目に留まり評判になった。発泡タイプの日本酒は以前からあるが「日本酒に慣れない層を狙った低アルコールタイプが多い。味わいは全く違うものに仕上げた」(永井社長)。赤ワインを想定した「ビンテージ」はマイナス2度の貯蔵庫で10年以上寝かせた。テストを繰り返して最適な温度管理の手法を確立した。13年にはビンテージ、14年にはデザート・サケが完成してシリーズの役者が出そろった。
今年で創業130周年の同社が海外輸出を始めたのは1996年。当時は日本料理店が主な顧客だった。今は代理店や知人の人脈を頼りに、高級レストランのオーナーやシェフに会って社長自らプレゼンテーションする。日本酒をシリーズでそろえたことで「レストラン側の反応が変わってきた」(永井社長)。15年には仏リヨンにある三つ星レストラン「メゾン・ピック」での採用も決まった。かつては苦い経験もした。米国で販路拡大を急ぐあまり大量の不良在庫を抱えたことがある。このため「有力なシェフらにターゲットを絞る。理解してもらったうえで売る」という姿勢を徹底する。

記事:2016年3月21日 日本経済新聞
画像:日本経済新聞から

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