カフェで旅行相談

コーヒーを片手に、ゆったりと寛ぎながら「理想の旅」に出会える心地良い空間を提供する旅行代理店の窓口がある。自分の観光地への誘客方法として、新しい潜在顧客へのアプローチとして、くつろげる窓口を運営する旅行代理店と一緒に、観光地のアピールをしてみては。

「旅行会社の店舗は予約をするだけの場所」というこれまでの概念を捨て、新しい店舗のカタチを創造・提案しながら注目を集める「H.I.S.渋谷本店」。「猿田彦珈琲」や「HMV&BOOKS TOKYO」とのコラボレーション、立体ディスプレイやイベントなど、五感で楽しめる体験型店舗での接客について聞いた。
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旅×コーヒー×本×デジタル

コーヒーを片手に、ゆったりと寛ぎながら「理想の旅」に出会える心地良い空間が渋谷にある。2015年11月19日にオープンした新施設「渋谷モディ」の地下1階にある「H.I.S. 渋谷本店」だ。メインターゲットは、20代以上の女性。植物の緑と間接照明に彩られた店内は、気兼ねなく入れるカフェのような雰囲気で、一般的な旅行会社の店舗とは一線を画する。イスやテーブルを設置して空間も広くとり、渋谷モディ入口から歩いてきた人の「通路」にもなっている。

従来のH.I.S.店舗に訪れるのは、すでに旅を検討している人や旅の予約をする人が大半だが、渋谷本店では「旅のきっかけ」を提供することが目的。そのため、店にふらっと訪れた人が自分でも気づかなかった旅の欲求に気づいたり、旅に出たいと掻き立てられる空間づくりが同店の特徴。新しい顧客接点のあり方に挑戦している。

店には、「猿田彦珈琲」が併設され、通路の壁に設置された大型サイネージには旅情報を映す。本棚には、旅に関する雑誌や書籍、写真集がキュレーションされている。コーヒーで一服しながら、マイペースに旅行雑誌をめくり、パネルの映像を眺めたりしてくつろぐうちに、自分が気になるエリアや旅のスタイルを見出してもらおうというわけだ。来店者の中で芽生えるこの「気付き」を見守れるように、スタッフはあえて来店客の声掛けはしない。

「もっとお薦めの旅を知りたい」そんな気持ちが高まった来店客が気軽に相談できる場所として設けたのが、通路の中心にある「インフォメーションセンター」だ。旅の豊富な知識と経験を有するスタッフが、コンシェルジュとして力になってくれる。

「5年以上の経験を持つスタッフを配置し、お客さまからのお話を伺いご相談に乗ります。具体的な旅のプランを検討されたい、となって初めて旅先のエリアごとに分かれたカウンターにご案内しています」と、販売管理グループ グループリーダーの熊本智久氏は話す。旅に興味を持ってもらい、顧客の側からスタッフに声をかけてもらえるような環境を整えているのだ。

体感すれば「旅」への確信は深まる
店内には「旅のきっかけづくり」になる本が随所に置かれているが、これは館内にある「HMV&BOOKSTOKYO」とのコラボレーション。旅とコーヒーと本の組み合わせは、15年10月にオープンした表参道店から開始した取り組みで、そこでの知見も踏まえ、渋谷本店でも導入に至った。

現場のスタッフからの声は、旅の具体的なプランを提示するパンフレットのラックにも活かされている。ラックには上から1段目に、ネット情報に負けない旬な旅行商品のチラシを置き、2段目にホテル情報などビジュアルで伝わるパンフレットを開いて見せ、3段目以降に詳細なパンフレットを置いている。上から下へ自然な動線で情報に触れてもらおう、という仕掛けだ。

「旅行の予約は、ウェブでできる時代ですから、この店舗が担うのは、お客さま自身の『理想の旅』を見つけてもらい、その信憑性を確信につなげるためのお手伝いをすること。そのためには、お客さまに旅の非日常感やワクワク感を体感してもらうための工夫を随所にしています。従来の店舗ではお客さま1人あたりの接客時間は20〜30分なのに対して、渋谷本店では40分ほどに延びています」(熊本氏)。

渋谷という立地もあり、新しいテクノロジーの導入にも力を入れる。旅行プランを練るカウンターには、モニターの映像が空中に浮かんでいるように見えるAIディスプレイを設置し、世界各地の映像やゲームを楽しめるようにした。ホテルや航空会社などによる店内イベントブースも、3週間に1度のペースで新しいものにし、来店者に気付きを提供している。この店内イベントは、販売スタッフが外からの知識を得て、幅広い提案ができるようになるための機会にもなっている。来店者が体感を重ねることで旅の楽しさに気づきワクワクできるのがこの店舗の醍醐味。接客はそこにそっと寄り添う形だ。「体感」したくなる仕掛けをデジタルとアナログの両面から進化させていきたい考えだ。
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「旅」に気付いてもらう多角的なアプローチ。上から下へと自然な動線で旅行を提案できるパンフレットのラックはスタッフのアイデア。売り上げアップにも貢献している。「HMV&BOOKS TOKYO」とコラボし、旅に関する本も手にとれるように。
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通路にある大型パネルは、5月中旬にタッチパネルとなる予定。来店者のインサイトを掘り起こすようなレコメンド機能を強化する。

記事・画像:販促会議6月号
サムネイル画像:let meから

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