奨学金肩代わり 導入自治体相次ぐ

地域での就労を条件に奨学金の返済を肩代わりする自治体が相次いでいる。奨学金制度を運営する日本学生支援機構によると10県程度で導入している。地方では東京などへの若者の流出に歯止めがかからず、労働力不足が深刻化している。奨学金返済の負担を軽減することで地域への転入を促し、労働力の確保につなげる。

奨学金は経済的な理由で進学が難しい学生に学費を貸与する制度で、返済が不要な給付型もあるが、多くは返済が必要な貸与型。同機構によると、2014年度に奨学金を利用している大学生・短大生は103万8000人で、全学生数に占める割合は38.7%。授業料や入学料が高止まりしており、奨学金の利用者が増えているとされる。返済に苦しむ人も多く、3カ月以上延滞している人は約17万人にのぼる。

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山形県は県内の高校などの卒業予定者・既卒者で、同機構の無利子の貸与を受けている人などを対象にした返済肩代わり制度を導入した。大学などを卒業後6カ月以内に県内で居住・就労し、3年間勤務すると就労4年目から返済を助成する。大学卒の場合、助成額は上限124万8000円。今春、100人を募集したところ、約160人から応募があった。市町村などと連携して募集する枠を含めて、5年間で1500人の奨学金返済を肩代わりする方針。

鳥取県は建設業や宿泊業などで就職する人材向けに奨学金を肩代わりする。16年度は180人を募り、県出身者でなくても利用できるのが特徴。正社員として県内企業に就職し、8年間は継続して勤務する見込みが条件だ。大学卒の助成上限額は144万円。

市町村では、新潟県糸魚川市が16年度、大学などを卒業後、UIターンで市内の事業所で働く若者向けに、奨学金の返済を補助する制度を新設した。最大で60人の利用を見込んでいる。

都心部でも東京都足立区は区内の保育施設で働き、奨学金を返済している若手保育士向けの支援制度を導入した。上限10万円を肩代わりする。180人の助成枠を設けた。確保が難しい保育士の区内での就労を促す。

地方では人口減少を受け、働き手が減少傾向だ。総務省の労働力調査のモデル推計によると、15年の都道府県別の労働力人口は1997年に比べ秋田県が19%減、島根県が17%減など、39道府県で減少している。

記事・画像:2016年8月10日 日本経済新聞
サムネイル画像:ハワイ大学から

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