観光地ごとに独自のBGM

愛媛県西予市が観光スポットごとに独自のBGMを設定することで、地域の魅力を高める取り組みを進めている。音楽投稿サイトの運営企業と組み、コンテストを開くことで、音楽愛好家から広く楽曲を募り、約170のオリジナル曲を地域のBGMにした。一般の観光客だけでなく、西予市に関心を持った音楽愛好家らをも集客するツールとなっている。

「観光地と音楽がうまく合っていると感じました」。日本の名水百選に選ばれている観音水を訪れた会社員(38)は専用のBGMを聞き、満足げに語った。

BGMとひも付けしたのは、観音水や重要伝統的建造物群保存地区に選定された卯之町の町並みなど市内の20の観光スポット。それぞれのスポットのイメージに合う楽曲をコンテストで広く募集した。市内を車で移動する時に聴くBGMも4曲選定した。

西予市には四国カルストやリアス式海岸があり、市内全域がジオパーク(大地の公園)として認定を受けるほど、多彩な地質や地形が売りだ。ただこれまで、市外からの集客効果は限定的だった。「ゲームにBGMがあるように、リアルな風景にBGMがあってもいい」とのアイデアのもと、観光スポットと音楽の融合に乗り出した。

良い楽曲を集めるには、多くの音楽愛好家の力を借りる方が効率的と考え、コンテストを開催した。人気ロール・プレイング・ゲーム(RPG)「ファイナルファンタジー」の音楽を担当する植松伸夫氏を最終審査員に起用したところ、2100もの応募があった。自身の楽曲を何かに役立てたいと考える音楽愛好家のニーズを取り込んだ。

コンテストは音楽愛好家を西予市に呼び込む効果も生み出した。個々の観光スポットに合うような楽曲を募集したことで、「多くの人が熱心に西予市やその観光スポットのことを調べた」(市まちづくり推進課の山下元紀主査)。提供した楽曲がBGMとして採用されて、西予市に実際に訪れたとの声が相次いだという。

集めたBGMは米アップルの携帯音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」を通じて、多くの人に楽しんでもらっている。道の駅「どんぶり館」にiPodを50台用意し、1台100円で貸し出す。ジオパークのサイト上でも一部のBGMを聴くことができる。

集めた楽曲をBGMとして使うだけでなく、PR動画にも生かしていくため、今年度中にそれぞれの観光スポットの動画やナレーションの一般募集を始める。音楽愛好家だけでなく、動画の編集者や声優志望者らも巻き込み、地域の魅力を伝えていく。

記事:2016年8月19日 日本経済新聞
画像:CREOFUGAから

関連記事

ページ上部へ戻る