地域おこし協力隊の参加者急増中 隊員数は約30倍、6割は「定住」

都市の住民らを地方で受け入れ、そこで生活をしながら町おこしなどの活動を行ってもらう「地域おこし協力隊」への参加者が急増している。現在は全国で2600人超が参加。過去の参加者の約6割は活動期間終了後、そのまま地方で生活を続けていることもあり、過疎などに悩む地方自治体から注目を集めている。

「みんなで地方を元気にしたい」。長野県北東部に位置する人口約1万1千人の小布施(おぶせ)町。昨年9月から地域おこし協力隊として活動している日影詩織(ひかげ・しおり)さん(28)は、今の思いをこう話す。

■勤務は週4日
都内の大学を卒業後、住宅メーカーに5年間勤務していたが、かつて訪れたことがある小布施町で協力隊員を募集していることを知り、まちづくりに興味を持って応募した。任期は最長で3年。現在は同町で生活しながら、町と慶応大大学院システムデザイン・マネジメント研究科との協働研究機関「慶応SDM・小布施ソーシャルデザインセンター」で、地域活性化に関連するプロジェクトの企画や運営に携わる。

仕事は週4日。残った時間は自由に地域交流を行うことができる。「結果として、それが町の活性化や任期終了後の独立へつながっていけばいい」というのが同町のスタンスだ。日影さんは「いろいろな企画をさせてもらえる自由な環境がある」と頬を緩める。今は来年の春から夏に予定しているイベントの企画を練っており「小布施らしい内容で小布施をもっと盛り上げたい」と意気込む。

■7年で30倍に
人口減や高齢化に悩む地方で都市住民を受け入れ、地域協力活動をしてもらおうと、総務省が平成21年に設立した地域おこし協力隊。最終的な狙いは、活動した土地に定住・定着してもらい、地域力の維持・強化を図ることだ。総務省によると、設立当初89人だった隊員は28年3月末時点で2625人にまで増加した。男女比率は男性の62・8%に対し、女性は37・2%。任期終了後は隊員の約6割が同じ地域に定住しており、約4割が女性だという。同省の担当者は「結婚を機に定住するケースも少なくないため、少子高齢化に悩む地方自治体は隊員の受け入れに一層力を入れるだろう」と予測する。

■柔軟な対応を
課題もある。総務省の地域資源・事業化支援アドバイザーを務める林田暢明(のぶあき)氏は、「自治体が委嘱制度を理解せずに隊員を募集し、自由に地域活動や副業をさせないケースがある」と指摘する。総務省によると、国から自治体に隊員1人あたり最高400万円の財政支援があり、隊員にはそこから月平均約17万円が支給されるが、任期後は断たれる。そのため、任期中に地域で収入を得る術を身につける必要があるが、一部自治体は副業ができない認識でいるため、独立できないケースがあるという。林田氏は、隊員の定着・定住を図るために「自治体は隊員に何をしてもらうかを明確にし、任期後に独立できるよう副業が行える環境づくりをすべきだ」と話している。

記事:産経ニュース
画像:のまど間から

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