訪日客対応の自販機 アプリに多言語で表示

ポッカサッポロフード&ビバレッジが、外国人観光客にも飲料の自動販売機を利用しやすくしている。スマートフォン(スマホ)アプリで商品見本を撮影すると、多言語で原材料などを表示するサービスを始めた。商品単価の高い自販機は、飲料各社にとって重要な販売チャネル。アプリを活用してインバウンド消費を呼び込む。

 「外国人観光客にとって、街中の至る所に自動販売機がある日本の光景は珍しい」(マーケティング統括部の榎本恭子マネージャー)。商品の種類が豊富で冷温の切り替えができるなど、独自の進化を遂げたチャネルだ。物珍しさから使ってみたいと思う外国人は多くても、言葉の壁が立ちはだかる。

 特に気になるのが原材料だ。アレルギー物質や宗教的に禁忌となる食物などが使われているかどうかは、商品の外観からは分からない。缶入りスープなどを強みとするポッカサッポロにとっては深刻な問題だ。そこで同社はスマホで商品の外観を撮影すると、原材料や商品の概要が分かるサービスを導入することにした。

 使用したのは富士ゼロックスが開発した「SkyDesk Media Swich」というアプリ。無料でダウンロードでき、カメラで自動販売機の棚に並ぶ見本を撮影するとアプリが商品を認識。栄養成分、原材料、アレルギーの原因になる物質などを英語、中国語、韓国語、日本語で表示する。

 購入する場合は現金などで通常通り決済する。ポッカサッポロはまず、子会社のPSビバレッジが管理・運営する自販機のうち300台に使い方を示したパネルを掲示した。他社も自動販売機を外国人にも使いやすくしている。ダイドードリンコは英中韓の各言語で「いらっしゃいませ」「お釣りをお忘れなく」といった声を発する自動販売機を関西を中心に設置している。

 キリンビバレッジは液晶画面で商品の見本を表示するデジタルサイネージ自販機で、カロリーなどを表示したり記念写真撮影ができる機能を持たせたりしている。ポッカサッポロもこれまで商品の概要を表示するステッカーを貼って対応してきたが、求められる情報全てを表示することは不可能だった。

一方で専用の自販機は多数設置するには採算が合わない。「アプリを活用すれば、国内9万台ある自社ブランドの自動販売機のどこでも多言語で情報提供できる」(榎本氏)のが特徴だ。一方で外国人観光客にアプリの存在を認識してもらわなければならないのが最大のネックだ。

現在は使い方のパネルに加え、英語で「Try this」と書いた大型のポップを取り付けた自販機を東京・浅草や横浜市の山下公園周辺など観光客が多い地域に集中配置することで周知を目指している。同社は9月末にいったん利用状況などを検証して今後の周知方法などを検討する方針という。

飲料総研(東京・新宿)によると今年1~6月の清涼飲料水のチャネル別販売数量は、コンビニエンスストアが6%増、スーパーが1%増だったのに比べ、自動販売機は横ばいだった。各社は利幅の大きい自販機での販売を増やしたいが、販売価格の安いコンビニやスーパーを利用する動きが根強い。存在感を増す外国人観光客を引き付け、反転の材料にする考えだ。

記事:2016年8月31日 日本経済新聞
画像:PRステーションから

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