城崎温泉、KDDI流の集客

「どうすれば観光客が増えるのか」――。日本中で同じ悩みを抱えている観光地は多いだろう。観光地としての魅力を高めて客を増やすために、KDDIが携帯電話会社(キャリア)ならではのノウハウを活用して力を貸すことになった。KDDIが集めたビッグデータで観光客の動線を分析。観光客を増加させるとともに、滞在日数を増やすような取り組みにつなげていく。

■スマホの位置情報を収集

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城崎温泉は落ち着いたいい観光地だが、冬と夏以外は訪れる人が鈍る
 KDDIが地域活性化を目的とした包括協定を結んだのは城崎温泉があることで有名な兵庫県の豊岡市だ。

例えば、auのユーザーに対して、温泉などの興味を引く広告を提示し、観光で訪れると得するクーポンを配布する。ユーザーが観光地に訪れた際にはスマートフォン(スマホ)を使ったスタンプラリーを実施して、観光名所を回遊してもらうだけでなく、位置情報と連動させて周辺の場所に関する情報を配信していく。旅行後にはSNS(交流サイト)で感動を共有してもらったり、アンケートを実施したりすることで次につなげていくというわけだ。

ユーザーには、どこからやってきて、どの観光地を周り、宿にたどり着いたといった動線に関する情報を提供してもらう。そうすることで、観光地としては、観光客の行動パターンを把握でき、ビッグデータとして蓄積し分析することで、次の改善につなげることができるというわけだ。なお、個人を特定できる情報は収集しない。

号泣議員が何度も視察で訪れた地として有名になった豊岡市の城崎温泉は、名物のカニのシーズンである冬場と、夏休みシーズンの8月こそ観光客でにぎわうが、それ以外の時期はどうしても閑散期となりがちだ。観光地として通年で稼いでいくには閑散期にいかに訪日外国人を呼び込むかが課題となる。

豊岡市では、KDDIのグループ会社であるワイヤ・アンド・ワイヤレスに協力を仰ぎ、城崎温泉の訪日外国人向けの無料Wi-Fiスポットの設置に着手。ワイヤ・アンド・ワイヤレスでは訪日外国人にWi-Fiのインターネット接続を無償で提供する代わりに行動履歴の情報を提供してもらうサービスを展開している。この一環として、2015年10月から豊岡市内の観光動態分析に向けた協議をしてきた。今後は、KDDIと位置情報ゲームで定評のあるコロプラが共同で国内観光客の位置情報ビッグデータを活用した調査リポートを豊岡市に提供していくという。

■有効な取り組みをデータで分析

実は豊岡市では「地域全体の稼ぐ力を強めていく」(中貝宗治市長)として、地域全体で観光マネジメントを一本化していく「DMO」という組織を設置している。豊岡市ではビッグデータを分析できる専門スタッフも雇い、とにかくデータをもとにして、街を動かそうとまい進しているのだ。

城崎温泉では、それぞれの宿泊施設から、宿泊者の宿泊数やどの国から来ているかなどのデータを組合が手作業で集計している。そのデータをもとに、「訪日外国人をもっと増やす」という目標に向かって、インフォメーションセンターを設立したり、パンフレットやウェブページを作成するなど対策を強化してきたという。

記事・画像:2016年10月5日 日本経済新聞
サムネイル画像:FIND TRAVELから

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