外国人客のタトゥー、対応揺れる温泉施設

訪日外国人が年間2千万人を突破する中、「入れ墨お断り」が多い日本の温泉が外国人客のタトゥー(入れ墨)を巡る対応で揺れている。観光庁の調査では、訪日前に「温泉入浴」を期待する外国人は約3割。条件付きで認める施設がある一方、タトゥーに向けられる世間の視線は依然厳しく、断る施設が多数派のようだ。大分県別府市で今月開かれるシンポジウムでも話し合われる。

大分県など、全国13カ所に展開する「星野リゾート」のブランド旅館「界」では、昨年10月からタトゥーを隠すシール(縦8センチ、横10センチ)を試験導入し、希望する客に配布した。一緒に入浴した客などから苦情がなかったため、今年4月からは正式に導入。要望を受けて、1人2枚まで利用できるようにした。

 もともと断っていない施設もある。別府市の「ひょうたん温泉」は1922(大正11)年の創業以来の方針。約1割いる外国人客にも「宗教や文化的な背景もあって入れている人もいる。彼らにも温泉を楽しんでほしい」との姿勢で対応しており、過去に苦情やトラブルはないという。

 一方、観光庁が昨年実施した全国調査によると、入浴を断る施設は約6割。ヤフーニュースが昨年6~7月、インターネット利用者を対象に行った意識調査でも、約39万の有効回答のうち「日本人も外国人も入浴拒否にすべきだ」とした人が約6割に上るなど、日本社会が向ける視線はまだまだ厳しい。

 福岡市博多区の「みなと温泉 波葉の湯」は断っている施設の一つ。担当者は「世の中に受け入れられていない。客が離れる懸念もあり、現段階では踏み切ろうとは思わない。常連客が最優先」と話す。一般社団法人日本温泉協会も「難しい問題。協会として結論は出せていない」といい、各経営者の判断に任せているのが実情だ。

 そんな中、21、22日には大分県別府市でシンポジウム「別府ONSENアカデミア」が開かれる。官民共同の団体が主催し、温泉がある自治体の首長約20人が外国人客のタトゥー問題について話し合う予定だ。別府市の担当者は「観光立国としてどう外国人をもてなすか。対応の方向性を示す機会になれば」と話している。

入れ墨がある外国人の入浴「断っている」55・9%
 今後も訪日客の増加が見込まれることから、観光庁も対応に乗り出している。昨年6~7月には、旅館やホテルを対象に全国調査を実施。今春には対応事例をまとめ、各施設に対応の改善を働き掛けている。

 調査は全国の約3800施設が対象で、581の有効回答を得た。このうち、入れ墨がある外国人の入浴を「断っている」は55・9%、「断っていない」が30・6%、タトゥーを隠すシールを使用するなど条件付きで許可しているのが12・9%だった。

 断る経緯については「風紀、衛生面により自主的に判断」が58・6%、「業界、地元事業者での申し合わせ」が13・0%、「警察、自治体などの要請、指導」が9・3%だった。

 こうした結果を受けて、観光庁は今年3月、留意点と対応事例を公表。
「入れ墨に対する考え方に文化的違いがあり、すべてを満足させる一律の基準を設けるのは困難」としながらも、
▽シールなどで覆う
▽家族連れが少ない時間帯に入浴を促す
▽浴場を分ける
▽貸し風呂の利用-など具体例を挙げ、業界団体などを通じて改善を促している。

記事:YAHOO!ニュース
サムネイル画像:BANKtelから

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