領収書画像で楽に経費処理

金融関連のベンチャー企業(VB)が企業の経費精算業務を効率化する新サービスを打ち出している。2017年1月から適用される電子帳簿保存法の要件緩和で領収書の原本保存が不要になることが追い風だ。1兆円のコスト削減が見込まれるとの試算もある。

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 「領収書の保管に要するコストも含めて年間100万円程度の経費削減が見込める」――。駐車場のシェアリングサービスを展開するakippa(大阪市)の杉村大輔経営企画室室長はこう打ち明ける。同社はベアテイル(東京・千代田)の経費精算サービスを導入し効率化を図る。シェアする駐車場は全国に散らばるため、交通費など月末の精算に2時間以上かかる人もいるという。

 サービスはユーザーがスマートフォン(スマホ)で撮影した領収書を送信するだけでよい。あとはベアテイルがクラウドソーシングで契約した主婦などが電子データとして入力する。手作業のため、99%以上の高い精度を誇るという。

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 領収書画像の作成日や改ざんの事実がないことを電子的に証明する「タイムスタンプ」を押すなどすれば、従来7年間の保存が義務付けられていた原本を破棄できるのが要件緩和のポイント。ベアテイルは資格を有する専門業者に委託してタイムスタンプの押印サービスを始める。利用料金は1ユーザーにつき月額1080円だ。

 「無駄が多い経費精算業務を一気に効率化できる」。黒崎賢一社長は市場の拡大に期待する。

 クラウド会計ソフトのfreee(フリー、東京・品川、佐々木大輔社長)は会計と経費精算業務を一体化させたソフトを提供する。領収書の画像を送信すれば、精算から仕訳まで一気通貫で行ってくれる。月額3980円(税抜き)から。同社も年内をめどにタイムスタンプの押印サービスを付加する。

 技術者教育のdiv(東京・渋谷)はフリーのサービスを採用。経理担当の石原圭氏は「データで保管できれば確認作業が楽」と笑顔を見せる。

 家計簿アプリのマネーフォワード(東京・港、辻庸介社長)は部長―課長―主任といった段階承認が必要な大企業に適した経費精算ソフトを提供する。同社の家計簿アプリはデータを棒グラフなどで即時に「見える化」する。同じ機能を法人向けにも搭載する。タイムスタンプサービス付きで1ユーザーあたり1000円(税抜き)以下で提供する予定だ。

 経費精算システム大手の米コンカーテクノロジーズ日本法人は精算業務がスマホで完結でき、領収書原本保存が不要になった場合、表計算ソフトなどによる手入力や領収書をのり付けしていた時代に比べ、年間1兆1000億円規模のコスト削減になると試算する。

 三村真宗社長は「外出中の隙間時間で経費精算できオフィスに戻る必要がなくなる。精算業務にかかる時間が8割削減できる」と話す。仕事の生産性向上や在宅勤務の推進にもつながりそうだ。

記事・画像:2016年11月21日 日本経済新聞
サムネイル画像:カタリストから

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