東京23区の「ふるさと納税」による税収減、影響額は保育所100カ所分

実質2千円の負担で、地方の特産物も手に入ることで人気のふるさと納税。総務省の発表によれば、2015年度の寄附額は1652億9102万円と、前年度(388億5217万円)の4.3倍。その認知も広まり年々、増加している。ふるさと納税は、特産品を売り込みたい地方自治体だけでなく、民間企業にとってビジネスチャンスだ。

 昨年度は全国で1600億円以上が寄付され、返礼品の購入や配送、システム投資など関連ビジネスが次々と生まれている。さまざまな特産品をそろえて全国の家庭に送る姿は、さながら通販ビジネス。小さな自治体は対応しきれず、実質的な業務を比較サイトなどに委託するケースが多い。

 最大手の「ふるさとチョイス」だけでなく、IT系や旅行会社系など多くの比較サイトが生まれ、全日空も今年から参入した。利用者からみると、返礼品選びだけでなく、自分に合った比較サイト選びも楽しめる。主な比較サイトを下にまとめた。

【ふるさとチョイス】
掲載自治体数は1788。全自治体を網羅する最大級のサイトで、約10万点の返礼品を掲載。運営:トラストバンク

【さとふる】
掲載自治体数は125。ソフトバンク系のサイト。返礼品の利用者レビュー情報などが充実。運営:さとふる

【わが街ふるさと納税CityDO!】
掲載自治体数は1788。「ふるさと納税とは」など、わかりやすい図解の説明ページが充実。運営:サイネックス

【楽天ふるさと納税】
掲載自治体数は137。納税で楽天のポイントがたまる。ポイントを寄付金支払いにも使える。運営:楽天

【ふるぽ】
掲載自治体数は約130。寄付額を自治体ごとのポイントに交換し、カタログなどで品を選べる。運営:JTB西日本

【ふるなび】
掲載自治体数は約70。年収2000万円以上を対象に、寄付プランの提案や申し込み代行も。運営:アイモバイル

【ANAのふるさと納税】
掲載自治体数は40 。全日空が2016年から始めたサイト。寄付額100円につき1マイルたまる。運営:全日本空輸

総務省によると、昨年1年間にふるさと納税した人は、全国で約130万人。市町村別にみた人数のトップ20自治体が、下の表だ。都市部の自治体がずらりと上位を占める。

≪ふるさと納税をしている人が多い自治体と寄付額≫
※カッコ内は利用者数と1人あたり平均寄付額
1位:神奈川県横浜市(65197人、11万円)
2位:愛知県名古屋市(37008人、14万円)
3位:大阪府大阪市(36701人、11万円)
4位:神奈川県川崎市(28544人、10万円)
5位:東京都世田谷区(23326人、18万円)
6位:兵庫県神戸市(23234人、11万円)
7位:京都府京都市(19520 人、14万円)
8位:埼玉県さいたま市(18786人、11万円)
9位:北海道札幌市(18529人、11万円)
10位:福岡県福岡市(17450人、12万円)
11位:東京都大田区(14292人、13万円)
12位:東京都江東区(13725人、12万円)
13位:東京都練馬区(13227人、12万円)
14位:東京都杉並区(12706人、14万円)
15位:広島県広島市(12458人、10万円)
16位:千葉県船橋市(12299人、9万円)
17位:東京都港区(11264人、38万円)
18位:東京都品川区(11055人、14万円)
19位:宮城県仙台市(10870人、12万円)
20位:大阪府堺市(10833人、11万円)

総務省資料をもとに、1人あたりの平均寄付額を算出すると、10万円前後が多い。ただ、東京都港区38万円、東京都世田谷区18万円など、突出して高い自治体もある。高額所得者ほど、ふるさと納税で差し引かれる税額が多いため、寄付額も大きくなる傾向だ。

 寄付した人数を人口比でみると、1~2%前後の自治体が多い。一方で、港区は5%近く、世田谷区は3%近くもいて、関心の高い人が多いようだ。

 ふるさと納税をする人が多い都市部の自治体は、税収が減り、悲鳴をあげ始めている。東京23区でつくる特別区長会は、ふるさと納税で2016年度に失われる税収を129億円と試算する。100人規模の区立保育所109カ所分の年間運営費にあたるといい、影響額は前年比5.4倍に膨らんでいる。

「寄付は建前で、(都市と地方の)税源偏在是正の目的が明白」「返礼品競争が過熱している」などと、区長会は制度のあり方の再考を求めている。ふるさと納税を使う人が増えれば、こうした声は都市部のほかの自治体へと、さらに広がりかねない。個人の生活防衛策としては、制度の恩恵を受けられる今のうちに、最大限活用するのが得策のようだ。

記事・画像:週刊朝日から

関連記事

ページ上部へ戻る