訪日誘客狙いの「秋田犬アイドル動画」予想上回るヒット

「秋田犬(いぬ)」の発祥の地、秋田県大館市が中心になって制作した動画が、投稿サイトのユーチューブで、公開2週間余りで110万回以上再生される大ヒットになった。ロシアのプーチン大統領もお気に入りの秋田犬。外国人観光客を呼び込もうという試みで、2億円の経済効果を見込む。福原淳嗣市長は、同じく地名に「館(だて)」のつく角館(仙北市)、北海道函館市と連携し、観光客誘致を目指す「3Dプロジェクト」を立ち上げた。

鳴き声を3カ国語で表示、経済効果は2億円

この動画「Waiting4U~モフモフさせてあげる~」は約2分20秒。秋田犬を擬人化したアイドルグループ「MOFUMOFU☆DOGS」が犬の鳴き声で歌い踊り、秋田内陸線やきりたんぽ鍋など、観光名所や特産品を紹介する。鳴き声の意味は日本語、英語、中国語の3カ国語の字幕で紹介。大館市、北秋田市、小坂町、上小阿仁村の県内4市町村で構成する「秋田犬ツーリズム」(大館市)が企画。今月1日から公開している。

動画は台湾の観光客をターゲットに制作。海外から東北地方への空路の玄関口となる函館と仙台の空港には台湾の定期便が運航しており、大館市まで足を伸ばしてほしいとの思惑だ。アクセス数の8割は台湾からで女性が多い。「斬新」「かわいい」と評判で、経済効果は2億円と試算される。同法人の阿部拓巳専務理事は「30万回くらい再生されればヒットと思っていた」とホクホク顔だ。

忠犬ハチ公も秋田犬…台湾・中国の富裕層に人気

「忠犬ハチ公」でも知られる秋田犬の人気は近年、海外で急速に高まってきた。「台湾や中国の富裕層が、ペットとして購入するようになったため」と秋田犬保存会(大館市)の冨樫安民副会長は言う。

秋田犬は祖父母から血統が続く犬が、人間の戸籍にあたる「犬籍」を保存会に登録して認定する。同会は海外で米国や中国、台湾、ロシアなど15カ所に支部を持ち、今年の登録件数は国内外を合わせ5020頭(10月20日現在)。平成23年(2038頭)の約2.5倍に上った。国内は2000頭前後で横ばいなのに対し、海外が2908頭と23年の40倍に上った。

秋田犬に会える「聖地」に―。大館市は県や国の支援を受けてJR大館駅前に秋田犬の関連施設「ハチ公の駅」(仮称)を31年度中にオープンさせる。総工費は約8億6000万円で、秋田犬やハチ公の歴史や特徴を解説するコーナーを設置。保存会が子犬、中型犬、成犬の3種類の秋田犬を提供。観光客がドッグランで散歩させることができ、触れ合いが売り物だ。

ただ、秋田は鉄道やバスなど公共交通機関の交通網が不便で、外国人に大館市まで足を運んでもらうのは難しい。そこで福原市長は函館市の工藤壽樹市長、仙北市の門脇光浩市長と「3Dプロジェクト」を立ち上げた。北海道新幹線で観光客が伸びた函館、角館や田沢湖を擁する仙北市とともに外国人観光客を誘致しようと、旅行会社へツアー組成を働き掛けるなど来年度から連携を本格化する。

観光呼び込み限界…自治体の枠超えた取り組み課題

「地域全体で観光客を底上げする必要がある。単独では限界がある」と福原市長。「マタギの里」を擁する北秋田市など県内の他市町村にも観光客を誘導し、大館市を訪れる観光客数(外国人含む)を、31年に26年の1.2倍となる90万人とする目標だ。「観光客が増えれば公共交通網の整備も進む」と期待する。

訪日外国人数は今年10月までに2011万人となり、初めて2000万人を突破したが、多くは東京や京都、富士山など主要な観光地に集中。政府は地方への誘客を促しており、「東北6県で連携してほしい」(観光庁)のが本音。自治体の枠を超えた取り組みが一層、必要となる。

記事・画像:訪日ビジネスアイから

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