国内旅行、集客安定のカギは50、60代

ホテルも旅館も鉄道も観光といえば今や「訪日外国人」一色に見える。昨年はJR東日本、JR西日本、JR東海がそろって好調で、今年はJR九州が上場を果たした。訪日外国人の増加がひとつの追い風にはなっているのだろう。しかし、訪日外国人だけがその好調の要因というのは少々無理がある。
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 あまり注目されていないが、実は観光の活況を支えているのは50、60代の女性のお仲間と夫婦だ。京都と北陸新幹線が開通した金沢は、今や鉄板のデスティネーション。金沢の兼六園は彼女たちであふれかえっている。観光関連企業のトップは「国内の50、60代をいかにしっかりとらえるかがカギ」とみているという。

 50、60代が本格的に動き始めたのは団塊世代がリタイア生活に慣れた2010年ごろからだ。この層に退職金の使用実績を聞くと、「国内旅行」がトップとなる。今後のリタイア層である40代でも「国内旅行」はトップの「料理・食事」に迫る。50、60代は安定的な顧客であり、働きかければ増大も見込める潜在層。この傾向は中長期でみても持続的なものといえる。ところが、観光業界では「訪日外国人」の次のターゲットは「30代OL」に向かいがち。残念ながら50、60代は“付録扱い”だ。

 実際はどうか。JR九州「ななつ星in九州」の運行1年目の発表では、利用者の平均年齢65歳で、国内旅行客が95%を占めた。訪日客は5%だけだ。沖縄県が団塊世代などを対象に実施した「大人のふたり旅」キャンペーンは2年間で県の観光収入が過去最大となったという。

 訪日外国人に関しては、多くの観光事業者が波があることを嘆いている。まずは50、60代をしっかりとらえてベースをつくる。その上で訪日外国人を上乗せする。これによって波のない観光ビジネスが約束されるであろう。

記事・画像:2016年12月21日 日本経済新聞
サムネイル画像:兼六園から

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