自治体も注目 ソーシャルギフト、電子スタンプで決済

スマートフォン(スマホ)やSNS(交流サイト)上で贈り物をやりとりしあうサービス「ソーシャルギフト」。コンビニのクーポンなど消費者向けに利用されてきたサービスだが、最近では店舗への来店を促すツールや地域通貨に活用できるとして法人や自治体にも利用が広がってきた。もしかしたらあと数年で、クオカードや商品券のプレゼントが無くなってしまうかも?

■金券の郵送や管理コストの課題を解決
「来店してアンケートに答えた人にはもれなくコーヒーチケットをプレゼント」。住宅展示場や携帯販売店を訪れると、ちょっとしたアンケートに答えればもらえるクオカード。ただ、景品の郵送費用や管理コストに頭を抱える関係者も多いはず。配布現場でアルバイトスタッフが金券を盗難する例もある。こうした課題を解決しようと、ソーシャルギフトを手掛けるベンチャー企業のギフティ(東京・品川)はスマホでプレゼントをやりとりできるサービスを提供する。アンケートの回答を終えると利用者はメールを受け取れ、メールに書かれたリンク先を開けばクーポンを受け取れる。

利用する際は画面をコンビニなどの店頭で見せ、店舗側が専用ツールの電子スタンプで画面を押せば決済できる。電子スタンプも数千円程度で購入できるため、店舗側の導入費用も少ない。既にスターバックスやローソン、ファミリーマートなどでクーポンは利用できる。300円のクオカードを郵送する場合、1枚あたり700円の費用がかかっていた。商品代金や販売手数料に合わせ、送料などのお金がかかるからだ。一方、ギフティのサービスではメールの配信だけで済み、1枚あたりにかかるコストは330円程度。電子スタンプのなつ印が完了すれば決済の知らせが届くため、大量のクオカードを用意したり、保管したりする場所や手間もいらない。「販促費用が限られるなか、お客さんを集めるのに有効に利用できる」と太田睦社長は話す。

地域や属性に分けて景品を変えられるのも、電子化ならではの特徴だ。地方ではコンビニよりミスタードーナツ、10代にはアイス店、訪日外国人向けならばラーメン店のクーポンなど細かく分けて配信できる。セゾン自動車火災保険へサービスの導入が決まった。既に携帯販売店など法人顧客は約80社にのぼり、今後も販売網を広げる。

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ギフティは法人向けの需要を開拓し、保険会社などでも導入が始まっている

ギフティはこの仕組みを地域通貨でも生かす。長崎県の離島でプレミアム付き商品券を電子化する取り組みを始めた。プレミアム商品券は5千円分を買うと、1千円が特典としてつき、6千円分を地域の商店街や飲食店で使える。さきほどのクーポンと使い方は同じで、使用する物はスマホと電子スタンプのみ。利用者はスマホで商品券を簡単にチャージでき、紙と比べて離島での利便性も高まった。

結果、地域通貨を導入してから島の観光消費額は16%、来島者数は10%近く上昇。店側も属性ごとに購入履歴を把握できるため、サービスの向上にもつなげられる。他の地方自治体も同様のシステムを取り入れようと見学者も増えているという。商品券の発行・販売を手掛けるJ&Jギフト(東京・豊島)の森悟朗社長は「紙の商品券などは、実際の額面価値以上のコストがかかってしまっている」とし、「1円硬貨も同様。お金の価値よりコストの方がかかっている」と指摘する。カナダでは小銭の管理コストを鑑み、13年に1セント硬貨が消えた。ひょっとすればソーシャルギフトを皮切りに、慣れ親しんだ紙や磁気カードの図書券やクオカードが無くなるかもしれない。ソーシャルギフトはそんな未来を切り開く可能性を秘めている。

記事・画像:2017年1月5日 日本経済新聞
サムネイル画像:viralblogから

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