気分はスパイ 任務は謎解き

スパイや探偵になった気分で謎解きを楽しめる場所が増えている。衣装や道具はあらかじめ用意されており、手ぶらでも子どもから大人まで楽しめる。憧れの映画スターになりきれば、困難なミッションもクリアできるかもしれない。

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部屋に張り巡らされたセンサーを避けて進む(東京都新宿区のインスパイヤ)
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ナムコは16年12月、東京都渋谷区でも「なぞともカフェ」をオープンした

「レーザー光線に当たったら警報が鳴って見付かるから気を付けて」。鉄格子越しに女性が声をかけ、不安げな友人を暗室に送り出す。悪の組織のアジトに送り込まれたスパイという設定を来場者が楽しんでいるのは「inSPYre(インスパイヤ)」。東京都新宿区歌舞伎町の一角にあり、ヒューマックスエンタテイメントが運営している施設だ。

同僚2人を誘って2016年11月に訪れた成田萌子さん(25)は「あとちょっとだったのに」と悔しがる。挑戦したのは「とらわれた科学者を救い出せ」というミッション。スタートと同時にシャッターが開くと段ボールや金庫、タイヤが積まれた倉庫に向けて走り出し、手がかりを探して回った。あと一歩のところまで謎解きを進めたが、隠し部屋のカギを開ける最中に終了のブザーが鳴り響いた。成田さんは「次こそクリアしたい」と早速、再チャレンジしていた。

スキマ時間に

友人と体験 
 大阪市在住の岡村匡倫さん(37)も高校の同級生に誘われ、初めて体験した。「ちょっとしたスキマ時間で楽しめる。謎も難しすぎないのがいい」と謎解きを堪能した様子だ。ただ成田さんと同じく、謎を全ては解明できず、クリアできなかった。それもそのはず。インスパイヤの施設管理などを担当する久保能哉アシスタントマネジャーによると「ミッションの達成率は1%程度」と、なかなか手ごわい。絶妙な難易度も含めて「何度来ても飽きないようなしかけづくりをしている」という。

 インスパイヤでは15部屋以上がある300坪(約1000平方メートル)の広さの「敵のアジト」で最大5人までのチームを組み、謎解きに挑む仕組み。料金は1回980円。プレーを3回楽しめる割安な3回券もある。

 来場者には5つのミッションの中から1つが与えられる。入り口でスマートフォン(スマホ)を手渡され、ヒントをもとに頭と体をフル活用して謎を解く。アジトにはインスパイヤの店員がふんする「内通者」が潜み、ヒントをもらえる。

 16年3月の開業後、会員は1万5000人を超えた。週2回以上訪れるリピーターも増えている。同じミッションでも違う解き方があるほか、スマホのアプリで謎を解明した時間や得点を参加者同士で競えるからだ。16年12月には施設をリニューアルした。従来は暗号の解読など頭を使う謎解きが多かったが、隠し通路を増やしたり、暗い部屋で血痕を探したりするなど様々な種類の謎を楽しめるようにした。

 年齢制限はないが、小学校低学年には問題が難しすぎることも。月に1回、2時間程度開く「スパイ教室」では施設を使い、親子参加型の謎解き体験もしている。スタッフに説明を受けながら一緒に謎を解き、ワナのよけ方や狙撃方法を教わることができる。

勇者や忍者

何度も楽しむ
ナムコは全国7カ所で「なぞともカフェ」を展開する。それぞれの店で違う謎を解明する必要があり、同じ店でも3カ月ほどで内容が変わるので何度も楽しめる。「勇者」「彼氏の浮気を暴く彼女」「忍者」など様々な役になりきることができる。東京都渋谷区で16年12月にオープンした店では6つのミッションを用意。体験は1回1080円で制限時間はナムコにちなんだ765秒だ。1度に30人で謎解きに挑戦する部屋があり、施設全体では最大100人収容できる。

 時間に追われず、じっくりと探偵気分で謎解きしたい人には時解カフェ(大阪市)がおすすめだ。時解カフェでは他店にあるような密室型だけでなく、飲み物を味わいながら謎解きを楽しむことができる。宝箱を開けたり、爆弾処理をしたりするミッションがあり、参加費用は1000~1500円程度だ。屋外で遊ぶのは寒い冬でも、家でドラマや映画ばかりみていたら運動不足になりかねない。たまには外に出て映画の主人公になった気持ちで体を動かしながら、アタマの体操もしてはいかがだろうか。

記事・画像:2017年1月6日 日本経済新聞
サムネイル画像:inSPYreから

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