地域おこし協力隊、求む「専門家」

長野県内の自治体で、都会から一定期間移住し地域振興に貢献する地域おこし協力隊の募集の際、専門知識や経験を要件にする事例が相次いでいる。茅野市は設立予定の観光振興組織を担う人材として旅行業やマスコミ経験者を募集。駒ケ根市は中央アルプスのジオパーク認定に向け、地質学を専攻した人材を募る。任期終了後も知識を生かせるポストを用意しやすく、定住につなげられる利点もある。

 茅野市は6日、東京のテレビ番組制作会社に19年勤務した野田義人氏を隊員として委嘱した。同市は観光振興で地域の活性化を図る戦略組織「日本版DMO」を2018年度に設立することを目指している。野田氏は観光地としての市のPRなどの業務にあたる。

 募集では年齢以外に、「編集およびライティング経験」「旅行業務取扱管理者の資格」など11項目の能力のいずれかを求めている。「マスメディア経験者には情報発信のノウハウを期待したい」(同市観光まちづくり推進室)。16年度はDMO設立に関わる要員を、集落の活性化に当たる集落支援員と合わせて5人、17年度も同5人委嘱する計画だ。

 駒ケ根市は大学や大学院で地質学など地球科学や地理学を専攻または研究したことを要件に、31日まで隊員を1人募集する。上伊那地域でジオパークとして中央アルプスの認定をめざす事業に参加してもらうためだ。

 ジオパークは山や川の地質的な成り立ちと人や生態系との関わりを学ぶのに適した公園のこと。認定を受ければ、観光や学校の教育活動の場として県内外からの訪問客の増加が見込める。「地質学の基礎的知識を外部にわかりやすく説明するには、地質学を学んだ人が必要」(観光推進課)との判断がある。

 王滝村は学習塾運営の信学会(長野市)と提携し、中高生向けに塾の講義をライブ配信する遠隔授業を村内のIT(情報技術)拠点で実施している。授業内容を補足するための指導役として16年6月に1人を隊員として委嘱。もう1人を今年2月に追加で委嘱する。

 応募要件は「教員や塾講師として中高生への指導経験のある方」。すでに採用した1人は他県で14年間の塾講師の経験がある。村おこし推進課は「1人の追加採用で中学生、高校生と担当を分けるなど、プログラムを充実できる」とみる。

 県のまとめによると、16年4月時点では県内59市町村で241人の隊員が活動している。募集要件は年齢や居住地域が中心で、専門知識を求める事例は少なかった。茅野、駒ケ根両市は最長3年の隊員の任期終了後もDMOやジオパークに絡む職務が続く見通しから、改めて職員として採用し定住につなげることも検討している。茅野の隊員になった野田氏は「好きな土地でもあり、市が求めれば前向きに考えたい」と話している。

記事:2017年1月11日 日本経済新聞
画像:twitterから

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