「幸せ」「驚き」の感情でユーザーに広告

強い感情喚起は、ユーザーのアクションや広告の利益と相関がある

次の図は、視聴者の感情反応と口コミの相関性を表した図だ。動画を見て強い感情を示すほど、「誰かに話したい」という口コミの意欲が高まることがわかる。

同様に、強い感情喚起は口コミ以外にも次のような意欲と相関があることが示された。

    相関関係

  • 動画の再視聴(もう一度見たい)
  • 検索意欲(製品やサービスについて詳しく知りたい)
  • 購入意向(製品やサービスを買いたい)

また、ユーザーの感情と広告の利益の相関も紹介した。従来の広告戦略と感情をターゲットにした広告戦略を次のように定義し、それぞれのキャンペーンの成果を比較したのが下のグラフだ。
 

    キャンペーンの成果を比較

  • 合理的な広告戦略: 直接商品の良さを伝える従来の手法
  • 情緒的な広告戦略: 動画でストーリーを見せてその中で商品の良さを伝える手法


第三者機関のBinet & Fieldの調査によると、短期的な広告施策において大きな利益増を得た広告主の比率が「合理的な戦略」では16%だったのに対し、「情緒的な戦略」では31%だった。同様に3年以上の長期的な広告施策においては、「合理的な戦略」では23%だったのに対して「情緒的な戦略」では43%と、短期・中長期ともに「情緒的な戦略」がより大きな広告利益をもたらしていることがわかる。

日本はまだこれから。感情伸びる余地が大きい

EQターゲティングは欧米で先行している取り組みだ。日本では、グローバルの平均に比べると「感情反応が小さめ」という調査結果が出ているという。フィル氏は「これには2つの理由が考えられる」と説明する。

オレンジが日本で、赤がグローバルの平均値。日本はグローバルと比べて「感情反応が小さめ」だ。1つは、日本人は感情反応をあまり大げさに出さない特徴があること。もう1つは、感情を揺さぶるような動画が日本のマーケットにまだ出てきていないこと。後者は「伸びしろが大きい」ととらえることができ、「日本は情緒的な動画広告のポテンシャルが高い」と説明する。日本ではテレビCMを流用した15秒や30秒サイズの動画が主流だ。狙う感情の種類にもよるが、ストーリーを見せるならもっと長い尺が必要になる。

感情は「表情」「アンケート」「音声」の3つで分析する

EQターゲティングでは、その動画がターゲットユーザーの感情にどのような影響を与えたのかをパネル調査で分析する。デジタルにあらわれにくい「感情」は、どうやって分析しているのだろうか? アンルーリー 日本代表取締役の香川氏は、次の3つのデータソースを使い科学的に分析していると説明する。

    3つのデータソース

  • 表情の分析
  • アンケート調査の分析
  • 音声の分析

「表情の分析」は、動画を見るときにWebカメラをオンにしてもらい、動画を視聴している顔の表情を撮影して分析する。「アンケート調査」は、どんな感情を持ったか、ブランドを好きになったか、どのSNSを使うかなどさまざまな質問を行う。表情だけでは分析が難しい複雑な感情もこのアンケートで補完する。「音声の分析」は、視聴中の音声を録音してAIにより分析を行う。こうした情報をもとに、ターゲットに近いパネルのユーザーが、その動画のどの部分で、どんな感情が発生したのかを分析するわけだ。パネルは自宅やモバイルで動画視聴を行うため、テスト環境と実際の環境に大きな違いがなく、より精度の高いデータを取得できるという。

感情を分析すれば広告ターゲットの「中心部分」を狙い撃てる

従来の広告ターゲットが「24~35歳の日常的にスポーツをする人」だとしたら、さらにそのなかで「その動画広告に望ましい感情反応をする人」というより狭いセグメントに最適化して広告を配信できる。その結果、EQターゲティングを行った動画の視聴完了率は通常の約2倍になるという。

また、「望ましい感情反応をする人」に動画を配信するので、ブランド認知や購入意向の向上についても効果が高い。動画接触者は動画接触者に比べてブランド認知で135%増、購入意向で20%増という結果だった。

記事・画像:WEB担当者FORUMから
サムネイル画像:ripplyから

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