氷の露天風呂

独自の発想で地方の魅力を引き出し、宿泊客の満足度を高めている星野リゾート。女子カレーと銘打った新しいゲレンデ食を展開している「星野リゾート アルツ磐梯」に続いて、北海道のスノーリゾート「星野リゾート トマム」に新たに登場したのは、なんと氷の露天風呂だ。

■マイナス20℃にもなる”寒さを楽しむ街”アイスヴィレッジ

「星野リゾート トマム」は、新千歳空港から車で約2時間、北海道の真ん中、占冠(しむかっぷ)村にある通年型のリゾートだ。冬季は29のスキーコースが広がるスノーリゾートだが、驚かされるのは“滑らなくても楽しい”アクティビティの充実度だ。なかでもユニークなのが「アイスヴィレッジ」という氷の街で、オープンは夕方17時から22時まで(最終入場21時半)。氷でできたゲートをくぐると、森の中に氷の滑り台、アイスリンク、氷のドーム型店舗が9つ、氷のホテル、氷の教会がある。


テーブルや椅子、そしてグラスまでも氷という「バーアイスウッド」や焼きマシュマロが味わえる「スノーマシュマロファクトリー」など、夕食の後にそぞろ歩く人でにぎわう。ホームページには「アイスヴィレッジは寒さを楽しむ街です。しっかりとした暖かい服装でおこしください」と書かれている。この寒さをアクティビティの魅力に変えてしまう発想は、まさに星野リゾートだ。

マイナス14℃以下の気温が3日以上続かないと作れないという1枚の氷のドームでできているのが「氷の教会」と「氷のホテル」。氷のバージンロードに仕込まれたLEDが青い輝きを放つ「氷の教会」では、実際に挙式が行われ、ベッドもソファも氷でできた「氷のホテル」ではマイナス30℃まで対応可能なシェラフにくるまって宿泊体験ができるという。この「氷のホテル」に今年、初めてできたのが氷の露天風呂「アイスインフィニティ」だ。零下のなか、熱い湯につかって幻想的な氷の世界を眺めるという極寒ならではの希有な体験ができると話題になっている。

■極寒でも快適に湖上のワカサギ釣り


星野リゾートらしいのは、この極寒の冬という環境を逆手にとったようなアイデアと「快適性」にこだわっていること。「星野リゾート トマム」のアクティビティの一つである「アイスフィッシング1日体験」は、近隣のかなやま湖にいって、湖上に丸い穴を空けワカサギ釣りを楽しむというものだ。釣り小屋にはストーブが置かれて、椅子にはムートン、電動リールの釣りざおもセットしてあって準備万端。体長15センチの小さな魚を釣り上げるのには、意外と難しく、時間もかかるので、この暖かい環境はありがたい。釣り体験の後は、釣りたてのワカサギをすぐから揚げにして食べることができる。

なかなか自分で乗ることはないスノーモービルだが、この冬から「スノーモービルの雪上ツーリング」も始まった。雪原が広がる狩振岳の山麓で運転をする。公道ではないので免許は不要。安全のために、胸や首にプロテクター、頭にはヘルメットをかぶって、ハンドル操作を習ったら発進だ。車体は、そりで安定しているのでゴーカートで走るような感じ。手つかずの雪原を爆走するのは爽快(そうかい)そのもので楽しい。さらにこのツアーにはランチが付いているが、これまたアウトドアな昼食を予想していたら、いい意味で裏切られる。雪の中に立つ大型テントに案内されると、中には薪ストーブがたかれ、コック帽をかぶったシェフが待っている。前菜から始まって、メインはドライエイジングビーフのグリルという本格的なお料理を目の前でサーブしてくれるのだ。

■滑るインドア造波プールに大浴場も

もちろん、雪質のいいゲレンデには29ものスキーコースがあり、ゲストの多くがスキーやスノーボードを堪能している。しかし、近年、増加しているアジア諸国からのゲストの中には滑らない人も多いという。それでも十分、雪と氷を楽しんでもらうためにあれこれ工夫がされている。雪原を利用して、スノーカートや雪上バナナボート、スノーシューで遊ぶ人も多数いる。雲海ゴンドラという標高1088メートルまで一気に上がれるゴンドラの駅には展望台やデッキ、カフェがあって、美しい霧氷が広がる景色を楽しめる。また、リゾート内には、日本最大級のインドア造波プールに大浴場の施設もある。

高層タワーの宿泊施設の一つ「星野リゾート リゾナーレトマム」(200室)は、1フロアに4室のみで全室100平方メートル以上あるオールスイート。客室には、ガラス張りの展望ジェットバスがあり、サウナまで付いている。リビングも広々して、ぜいたくな滞在が楽しめ、最上階には木材の曲線が美しい旭川家具を設えた特別な客室もある。寒さをリゾートの魅力に変えたアイデア。滑ると滑らないにかかわらずここまで楽しめるのは、単なるスノーリゾートではなくスノーワンダーランドと言うのがふさわしい。

記事・画像:NIKKEI STYLEから

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