“無人島暮らし”体験や砂浜で宝探し

海に面した場所で過ごすビーチキャンピングの人気が広がっている。キャンプ用品を自前でそろえる必要がなく、手軽に楽しめるのも魅力のひとつ。「キャンプは山」という固定観念が崩れ、新しい海の楽しみ方として定着しつつある。

「あれ?うまくテントが立たないぞ」「ちゃんと布の端を握ってなきゃダメだよ」。目の前に青い海が広がる丘陵地で、見よう見まねでテントを組み立てる20代の男女41人。時折涼しい海風が吹き抜けると額の汗をぬぐい、うっとりと目を細めた。

1日1組限定

SNSで集合
 ここは静岡県西伊豆町にある1日1組限定のキャンプ場「アクア・ヴィレッジ」。近くの田子漁港から船に乗らないとたどり着けない陸の孤島にあり、さながら無人島のような暮らしを体験できる。バーベキューや花火、キャンプファイアのほか、クルージングも楽しめる。日本では今、「ビーチグランピング」がブームになっている。グランピングとはグラマラスとキャンピングを掛け合わせた造語。リゾートホテルなどがビーチで運営するコテージで優雅に過ごすことができ、アメニティーも整っていることが多い。

 一方、アクア・ヴィレッジはビーチグランピングと一線を画す。運営会社ヴィレッジインク(静岡県下田市)の根本耀さん(24)は「あくまでキャンプ場。プランは利用者がすべて決め、我々はそのお手伝いをするだけ」と話す。巨大スクリーンを持ち込んだ映画祭や音楽イベントを企画したり、シーカヤックのレース大会を開いたりなど使い方は自由だ。キャンプ場ではスタッフが夜通しで付き添い、安全面にも配慮している。基本料金は2日間で大人1人1万6200円。キャンプ場としては割高だが、2010年の開業以来、毎年5月には夏の予約がほぼ埋まるほどの人気だ。

 テントでの宿泊に抵抗があるという初心者にお薦めなのが神奈川県鎌倉市の腰越海岸。7月15日から8月末までの期間限定で、ビーチキャンピング関連イベントが開かれる。イベントのテーマは「マリンテーマパーク」。砂浜での宝探し、貝細工づくり、水風船の投げ合いといったビーチならではのイベントを週替わりで企画。海岸の利用は午後8時までで宿泊はできないが、日中はテントやコテージを借りられ、バーベキュー、ヨガ、スタンドアップパドルなども体験できる。

併設施設で

地元の幸堪能
 イベントを運営するのは、体験型レジャーの予約サイトを手がけるアソビュー(東京・渋谷)。今回が実際のレジャー運営に乗り出す初めてのケースになる。山野智久社長はビーチキャンピングに注目した理由について「予約サイトを通じ、海の楽しみ方が多様化していることが分かった。海水浴客は減少しているが、家族連れがカジュアルに楽しめるスポットとして打ち出せば人が集まる」と語る。大阪から車で約1時間。淡路島西岸の「FBI淡路」(兵庫県洲本市)では、ビーチキャンプ場に併設したビーチハウスで本格的な料理を楽しむことができる。特に人気なのが「ビッグハンバーガー」(1600円)。淡路島産のタマネギと牛肉をふんだんに使い、かむと香ばしい肉汁が口の中に広がる。気分にあわせて様々に楽しめる懐の大きさがビーチキャンピングにはある。

記事・画像:2017年7月14日 日本経済新聞

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