電子マネー使い地方に寄付

普段の買い物に電子マネーを使うだけで、自動的に特定の自治体へ寄付ができる新しい地域貢献が広がっている。情報技術(IT)によって手間や負担を感じることなく地方を応援できるうえ、ポイント還元などのメリットもある。返礼品競争の過熱で、曲がり角を迎えつつあるふるさと納税に匹敵する存在に育つかもしれない。

■0.1%が自動的に

「電子マネーを使うだけで気張らずに地元を応援できる」。岐阜県出身で現在は神奈川県に住む会社員の男性(42)は、最近入手したカードに満足そう。その名も「飛騨市ファンクラブ会員証」。らしからぬ名称ではあるが「楽天Edy」を搭載し、全国約49万カ所で使えるれっきとした電子マネー付きカードだ。今年3月、岐阜県飛騨市が発行を始めた。電子マネーを使うと利用額の0.1%が自動的に飛騨市に寄付される。利用者には使用額の0.5%のポイント還元があり、負担はゼロ。寄付は楽天Edyの「持ち出し」だ。前出の男性は「ふるさと納税は手間がかかるし返礼品ありきで違和感があった」。飛騨市はこれまでに約800枚を発行。申込者には名刺も送る。知人らに配って観光促進に一役買ってもらう狙いで、名刺持参で市を訪れた人には地元商店が特典を用意する。「当初の目標だった1000枚は早々に達成できそう」(市担当者)。楽天Edyは広島県福山市でも同様の仕組みをもつカードの発行を予定しており、今後も連携する自治体を増やしたい考えだ。


イオンは全国130種の「ご当地WAON」を発行する。各地のゆるキャラや名所名跡を配すなどデザインは様々。全国約34万カ所のWAON加盟店のどこで使っても利用額の一部が寄付される。2009年の開始以来、寄付額は9億8414万円に達した。ゆうちょ銀行は1月からプリペイドカード「mijica(ミヂカ)」を発行する。「VISA」加盟店で使えるが、カード発行は原則、仙台と熊本市内の一部郵便局に限る。仙台、熊本の一部の店でカードを使うとポイントが通常の2倍以上付くという特典があり、地元での消費を促進する狙いだ。

地域通貨などに電子マネーの技術を活用することで、コストを抑えながら活性化を目指す自治体が増えつつある。電子マネー発行会社にとっても、現金決済の比率がいまだ高い地方へいかに切り込むかは大きな課題。自治体と企業の思惑が一致しやすい環境にあり、今後も電子マネーを軸にした新しいタイプの地域活性化策が増えそうだ。

記事・画像:NIKKEI STYLE

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