生徒がデザイン、受験生も参加。統一感より着たい制服

学校制服に変化が起きている。新しい制服を受験生に選ばせたり、学生がデザインした制服を採用したりするなど、着用する子どもたちの意向をくみ取ろうとの取り組みが目立つ。性的少数者(LGBT)への配慮から女子生徒用のスラックスを用意する学校も出てきた。統一感の象徴から、着たいものを着る流れへ。制服の変遷は、時代の移り変わりも反映する。

 「どれがいいかな」「私はこれが着たい」

8月22日、岡山県立総社高校(岡山県総社市)のオープンスクール。参加者たちは、来年度から導入される新しい制服候補を吟味していた。自分が着ることになるだけに、見つめる表情は真剣そのもの。制服効果もあり、参加者は前年比100人増えた。生徒はその後、どの制服がよかったかを投票する。参加した中学受験生や保護者にも投票権がある。山本達也副校長は「意見を参考にして、秋ごろ正式決定する」と話す。

男子生徒の詰め襟服はブレザーに変更。シャツやブラウスは肌触りをなめらかにし、アトピー性皮膚炎の子へも配慮した。開校以来、制服を変えるのは初めて。親子3代で同じデザインの制服に袖を通した人もいる。伝統を捨て、制服を新しくする背景には切実な事情もある。生徒数の減少だ。制服は高校選びの大きな要因になりつつある。大手制服メーカー、トンボ(岡山市)の調査では、母親世代が自身の高校進学の際、「制服が影響した」と答えたのは13%。一方、現役女子高生は28.7%が影響したと回答した。

生徒がコーディネートを楽しめるよう工夫しているのは私立進徳女子高校(広島市)。今年度から刷新した制服では、ネクタイやリボン、無地やチェックのスカートなど、自由に合わせられる。季節や好きなデザインに応じ、着こなすことも可能だ。学生が考えた制服を採用する動きもある。菅公学生服(岡山市)は14年度から、岡山県立岡山南高校の生徒と連携し、学校の体操着や制服をつくっている。昨年度は岡山市立岡輝中学校の女子制服を手掛けた。

生徒が着たい制服が着られるよう、LGBTにも配慮し、工夫を施す学校もある。私立福岡女子商業高校(福岡県那珂川町)は昨冬、スカートに加えスラックスを導入した。LGBTへの配慮が主な理由だ。文部科学省は15年、LGBTの子どもたちに配慮するよう、都道府県の教育委員会へ通知。事例として「自認する性別の制服の着用」を認めることを挙げた。16年には教員へ向けた手引も公開し、取り組みは広がっている。制服は学校の象徴として統一感が必要とされてきた。一方、少子化が進み、多様性も求められるようになった。様々なニーズにどう応えていくのか。制服を取り巻く動きは今後も活発になりそうだ。

制服づくり、AKBも一役

アイドルグループ「AKB48」などの衣装製作を手掛けるオサレカンパニー(東京・千代田)は昨年、明石スクールユニフォームカンパニー(岡山県倉敷市)と共同で学校制服ブランドを立ち上げた。学校へのヒアリングを通し、スクールカラーや地域性も考慮に入れ、デザイナーがオーダーメードで作り上げる。リボンの色づかいや校章の刺しゅう、ボタンなど細部までこだわる。

AKBグループに所属するアイドルをモデルに起用。交流サイト(SNS)で発信してもらい、口コミで話題に。今春、5校が同ブランドを採用した。「AKBと聞いて『派手すぎるのでは』と不安視する学校もあった」とオサレカンパニーの安達舞さん。「舞台衣装と学校制服、それぞれのノウハウを持ち寄り、かわいさと機能性を兼ね備えた」と自信たっぷりだ。明石スクールユニフォームカンパニーの榊原隆さんは「少子化の影響で、最近では私立だけでなく、公立校も生徒を集める手段として制服を重視している」と指摘。「47都道府県に同ブランドの採用校を一つずつおきたい」と目標を語る。

記事・画像:2017年9月12日 日本経済新聞

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