世界の観光産業収益の15.6%を占める「ウェルネスツーリズム」

ウェルネス・ツーリズムとは?スパやヘルスケアなど健康増進を目的とした旅行形態

ウェルネスツーリズムは、別名ヘルスツーリズムともいわれ、健康や精神的幸福を増進させるための身体的・精神的なアクティビティを組み合わせた旅行形態 を意味します。スパやヨガなどのアクティビティを目的とした旅行がウェルネス・ツーリズム(ヘルスツーリズム)にあたります。「ウェルネスツーリズム(ヘルスツーリズム)」というとなかなか聞きなれない言葉かもしれませんが、海外のインバウンド観光市場では大きな注目を集めています。

2020年には8,000億ドル規模の市場に:各国で伸び続けるウェルネス・ツーリズム

The Global Wellness Instituteが昨年発表したレポートによると、2015年、6億9,000万人の観光客がスパやヨガなどを目的に海外旅行をしており、5,630億ドルの観光収益が生み出されました。 特筆すべき点は、この額が 2015年の観光産業によって得られた収益額のうち、15.6%にあたる という点です。
同レポートでは、スパやヨガなど健康増進を目的に海外旅行をする人の数はこれからも増えていくと予想しており、2020年にはウェルネス・ツーリズム(ヘルスツーリズム)は、8,000億ドル規模の市場になると予測しています。
これらのデータから考察すると、ウェルネスツーリズム(ヘルスツーリズム)は、世界の観光市場において大きなポテンシャルを持っていることが把握できます。
実際に海外ではインバウンド観光にウェルネスツーリズム(ヘルスツーリズム)がどのように組み込まれているのでしょうか。

世界ではインバウンド観光にウェルネスツーリズムがどう組み込まれている?

[ウェルネスツーリズム例①]インド・アナンダ:2,500年の歴史を持つ「ヨガ」を巧みに活用して外国人観光客を誘致
インドのアナンダという街では、アーユルヴェーダというインド古来の伝統医学・治療法を体験できる旅行プランが観光客に人気 となっています。
「Ananda in the Himalayas」という世界的に有名なスパリゾートでは、経験豊富なヨガ講師が、観光客それぞれの目的に沿ったヨガのプログラムを組み立ててくれます。同地には毎年多くの外国人観光客が訪れており、2,500年前にインドで生まれた「ヨガ」を巧みに観光に組み込み、外国人観光客誘致に成功しています。

[ウェルネスツーリズム例②]タイ・チバソム:独自のヘルスケアが人気 データ蓄積でリピーターも獲得
タイの首都バンコク郊外にある海沿いの都市ホアヒンにあるチバソムでも、ウェルネスツーリズム(ヘルスツーリズム)を通じた外国人観光客誘致に成功しています。
チバソムのヘルス・リゾートでは、東洋の自然療法、西洋の現代医学を掛け合わせたヘルスケアによって、参加者の心、体、精神の調和を目指しています。 ヨガ呼吸法やストレッチ、健康な食事などを通じたプログラムは、デトックス、体重管理、ストレス軽減にも効くとして、このヘルス・リゾートを目当てに海外から多くの外国人観光客がチバソムを訪れています。
また、チバソムでの活動記録は、データとして保存してもらえるため、次回訪れたときに過去の自分の健康状態と比較することができます。 このような手法で同地は リピーターの獲得にも成功 しています。

このように、スパやその国独自のヘルスケア法をうまく活用して海外では、多くの外国人観光客誘致に成功しています。 しかし、日本国内のインバウンド市場ではウェルネスツーリズム(ヘルスツーリズム)は、まだまだ注目度が低く認知されていない状態にありそうです。

日本では注目度の薄いウェルネスツーリズム:日本のスパ・ヘルスケア施設は海外メディアからあまり評価されていない現状

スパ&ウェルネスリゾート業界最大級のメディアSpafinderが昨年発表した優れたスパ・健康施設を表彰するアワード「The 2016 Wellness Travel Awards」によると、他国では複数の施設がランクインしているにもかかわらず、日本からは国別の受賞施設として三重・伊勢志摩の温泉施設であるアマネムがランクインしているのみ。

国内ではやまなしウェルネス・ツーリズムや一般社団法人 信州ウエルネスツーリズム研究所などウェルネス・ツーリズムを促進する組織等も存在していますが、未だに日本のインバウンド業界内で大きな注目を集めているとは言えず、海外からも認知されていない状況 にあることが把握できます。

先ほど紹介したデータから考えると、世界各国で注目を集めているウェルネス・ツーリズムを日本国内でもきちんと体系化し、海外に発信していくことは、2020年の4,000万人の訪日外国人観光客誘致を目指すうえで必須 といえるでしょう。
加えて、日本にはインバウンド誘致策としてウェルネスツーリズム(ヘルスツーリズム)を展開するにあたって、必要な土壌が整っていると考えられます。

日本にインバウンドを誘致するうえでウェルネスツーリズム(ヘルスツーリズム)はかなり有効かも

[理由①]長寿の国・日本:世界遺産ともなったヘルシーな和食、健康レベル高さはインバウンド誘致にも有効?!
厚生労働省の平成28年簡易生命表によると、日本人の平均寿命は男性が80.98歳、女性が87.14歳 です。国民の平均寿命を 他国と比較すると、日本は男女ともに世界第2位 となっています。日本では、ヘルシーな食事や入浴などのライフスタイル、医療制度の充実、国民の健康に対する関心の高さなどから、この平均寿命の長さが実現しています。「健康レベルの高さ」という点をうまく海外に発信していくことで、ウェルネス・ヘルスケアに関心の高い外国人観光客を呼び込むことができるかもしれません。

[理由②]訪日外国人の4人に1人が「温泉に入浴すること」は楽しみにしている:ヘルスケア施設の代わりとして温泉は活用可能
観光庁が発表している「訪日外国人の消費動向 平成29年4-6月期報告書」によると、訪日外国人観光客が日本を訪れる前に期待していることとして「温泉入浴」は、第5位にランクインしています。

温泉の入浴を楽しみにしている外国人観光客は、24.9%(※複数回答可)を記録しており、訪日外国人観光客の約4人に1人が温泉入浴を訪日旅行時に楽しみにしている ことになります。

また、一般財団法人日本経済研究所が発表した「ご当地インバウンドにチャンスあり ~再発見! Gaikokujin に学ぶ魅惑の日本~」では、「外国人旅行者が日本で体験してみたい19のこと」として「温泉」がランクイン しており、訪日外国人観光客の間でも温泉に対する関心が高いことが把握できます。

このように、「日本食」というユネスコ無形文化遺産にも登録された食文化に支えられ、長寿の国として知られている日本。それに加え、日本独特の文化である温泉は、海外の観光地でいうスパの変わりともなるため、健康・ヘルスなどを軸とした観光形態であるウェルネスツーリズム(ヘルスツーリズム)を日本で整備していくことで、日本国内に新たな層の外国人観光客を呼ぶこむことができるかもしれません。

記事:訪日ラボ
画像:Wired

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