高齢者の困ったを解決、ワンコインで

ごみ出しなど生活のちょっとした困りごとを100円、または500円といったワンコインで手助けするサービスが広がっている。体力が衰えてきた一人暮らしの高齢者などが対象で、NPO法人や各地のシルバー人材センターなどが手掛けている。ワンコインは利用者にとって金銭と心理の両面で負担が軽いのがメリット。高齢者の安否確認の役割も担い、手助けが必要な人を地域で支え合う取り組みとして欠かせなくなっている。

いるかねっとは2014年2月から、同団地に住む高齢者を主な対象にワンコインサービスを始めた。電話でごみ出し支援の依頼があると、近くに住むボランティアが出向く。現在、ボランティアとして30人が登録しており、「5~6人がフル稼働している」(いるかねっとの田口吾郎代表理事)。

毎月50件ほどの利用があり、増加傾向だ。利用者からは「無料だとお礼をしないといけない。100円だから頼みやすいとの声が多く聞かれる」と田口さん。「地域の助け合いとして続けていきたい」と話す。

 埼玉県三郷市の「みさと団地」の一角にある高齢者の交流施設「ほっとサロン・いきいき」。NPO法人「いきいきネット」(同市)は同施設を拠点に、1回(1時間以内)500円のワンコインで買い物やごみ出しをする生活支援サービスを提供する。担当するのは60~70代のボランティア17人だ。

ボランティアのひとり、川上トサ子さん(73)は、同団地に住む要介護5の80代の女性を定期的に訪ねる。女性は大腿骨骨折や糖尿病などから車いすで生活する。毎月5~6回、ワンコインサービスを利用する。頼むのは洗濯物の取り込み、季節の野菜や下着、線香やロウソクなどの買い物。女性は「介護ヘルパーは時間が限られるうえ、線香など宗教にかかわる買い物はしてくれない」と言い、「ヘルパーができないことを川上さんにやってもらっている」と話す。

 サービスの利用は80代の女性が多く、「サービスは高齢者の見守りもかねている」(いきいきネットの海瀬正一代表理事)という。利用は年々増え、16年度の利用件数は前年度に比べ約2割増の約700件に拡大している。

 60歳以上が会員登録して地域から要望のあった仕事に有料で取り組むシルバー人材センターも、ワンコインサービスに取り組んでいる。中でも利用件数を伸ばしているのが、鹿児島市シルバー人材センターが市内に住む65歳以上の高齢者を対象に提供している「ワンコインまごころサービス」だ。

サービスは、ごみ出しや電球の交換など10分以内の「100円サービス」と台風前の戸締まりや日用品の買い物など30分以内の「500円サービス」の2本建て。同センターの会員約3000人のうち半数近い約1400人が同サービスを担う。市内を91地域に分け、依頼者の最も近くに住む会員が出向く。
同センターの藤山幸一理事長は「鹿児島市の人口60万人のうち、60歳以上は3割を超える。ワンコインサービスの需要は拡大する」とみる。

記事:2017年9月20日 日本経済新聞
画像:家計経済研究所

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