訪日客誘致、道南で加速 観光「体験型」に

道南で訪日外国人向けの観光サービスが深化してきた。歴史的な町での挙式を提案、和装体験や鉄道ツアーを促す。函館では初のカプセルホテルが開業した。外国人客数が増加し、ニーズが「買い物」から「体験」へ多様化するなか、誘客へ知恵を絞る。

 「日本遺産の歴史的な町並みの残る江差町や松前町で結婚式を挙げませんか」。函館ブライダル・ロケーションフォト協議会(函館市)は10月から、中国や台湾からのカップルを対象に道南での挙式サービスを始める。

 同協議会は金森商船、五島軒やホテル、旅行会社など地元企業で構成。アジア人向けに函館市内の観光スポットで結婚写真の撮影サービスを手掛けてきた。同協議会の橋口奈央副会長は「歴史ある町で白無垢(むく)と紋付き袴で挙式したい要望はある」と意気込む。

 基本料金は新郎新婦と出席者合計8人で61万5600円(祝宴込み)。松前町では藩主の婚儀で提供された祝い膳を楽しむ。中国・香港の旅行会社に売り込み、ホームページでも周知する。来年度から年2、3件の利用を見込む。

 函館空港では8月、グランディール(函館市)が和装レンタルサービスを始めた。女性は色打ち掛けや振り袖、男性は羽織はかまを着付けてもらい、空港内を散策できる。女性は40分3千円、男性は同2千円だ。

 「1日5組程度の利用があり、さらに伸びそう」とグランディールの太田久美子共同代表は話す。台湾の旅行会社からツアーに盛り込みたいと提案を受けているという。

 道南いさりび鉄道(五稜郭―木古内間)は日本旅行北海道(札幌市)と共同で、来春から台湾客専用のツアーを実施する。観光列車に乗り、沿線の地元食材を味わう。「台湾の鉄道ファンは日本の鉄道に強い関心を持つ。道南の旅情を味わってもらいたい」と、日本旅行北海道の永山茂新規事業室長は話す。

 宿泊施設の幅も広がっている。みのり(函館市)は市内初のカプセルホテルを8月中旬に開業した。定員104人で既存のオフィスビルを改装した。来年3月まではキャンペーン期間で1人1泊2600円(税別、通常3千円)と格安だ。

 広告を始めて2カ月弱だが稼働率約45%と滑り出しは上々。利用者の約3割はアジア系を中心に外国人だ。宿泊サイトで誘客を図り、将来は利用者のほとんどを外国人にする。みのりは市内でビジネスホテルも運営、稼働率は9割に達していて「宿泊賃を抑えたい外国人のニーズにさらに応えていく」(加藤進社長)。

 函館市によると、2016年度の同市の観光客数は約560万人、外国人宿泊客数は約40万5千人と、いずれも過去最高だった。昨春の新幹線開業が主因で、効果が一巡する今年は正念場だ。

 人口減が進む国内客を大幅に伸ばすのは容易ではない。地域活性化に詳しい函館工業高等専門学校(函館市)の奥平理教授は「外国人客の底上げが不可欠。需要を捉えた施策が必要」と話す。

 函館空港には格安航空会社(LCC)のタイガーエア台湾が16年8月に台北路線を就航。バニラ・エアも今年2月に成田線を開設して、多くの外国人を呼び込んでいる。函館への17年度の外国クルーズ客船の寄港回数も21回と5年前の5倍だ。

記事:2017年9月9日 日本経済新聞
画像:huffingtonpost

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