古い建物が観光拠点・宿泊施設に再生

福岡県うきは市で行政と民間が連携し、老朽化した民家や施設を再活用する取り組みが進んでいる。古民家を再生した複合宿泊施設が10月に開業するほか、閉鎖した保育所を地域住民や観光客向けの交流施設に転用する試みも。財政難に悩む自治体にとって老朽施設の再活用は大きな課題で、うきは市のプロジェクトは関心を集めそうだ。

市外からの利用者も多い「道の駅うきは」の近くに10月に開業するのは、複合宿泊施設「ファームテアトル山北小路」。うきは市と、古民家の再生などを手がける福岡県中央古民家再生協会が連携して計画・整備した。

 老朽化が進み、一般の人が住居として使うのは難しくなった古民家を、うきは市が同協会に紹介。同協会が宿泊施設に衣替えした。周辺の敷地約2370平方メートルにはキャンプ場やイベント広場も設けるほか、周辺の農家と組んで農業体験のプランも用意し、様々な体験ができる複合施設と位置付ける。

 市は補助金対象となる地域活性化事業として、改装費などを助成。運営や管理は同協会が中心になって担う。施設のテーマやデザインは、海外でも知られる建築家、有馬裕之氏が担当した。

 うきは地域の新たな観光資源として売り出すほか、農業体験などを通じて市の暮らしを体験してもらい、移住者誘致につなげる狙いもある。市の担当者は「古い空き家は修繕コストも高く、住居として活用するには限りがある」と話す。ノウハウが豊富な民間の力を借りて活用の幅を広げることを目指す。

 同協会の川口智広代表理事は「地域に眠ったまま活用できていない古い空き家は多い。今回の企画をきっかけに、様々な自治体で再活用の取り組みを広げていきたい」と、うきは市以外でも同様の試みを進めることに意欲をみせる。

 うきは市では今回開業する新施設に続き、閉鎖された市立保育所を地域住民や観光客向けの交流施設に転用する計画も進めている。隣接する福岡県八女市との間に新たにトンネルが開通するのに合わせ、観光客らが立ち寄れる施設に改装する予定だ。

 地方創生が注目され、自治体は地域活性化に取り組んでいるが、財政難や行政改革の面から単純なハコモノの新設は難しくなっている。老朽施設をうまく生かせれば、低コストで地域の魅力を引き出す可能性が広がる。

記事・画像:2017年9月27日 日本経済新聞

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