ふるさと納税返礼でコラボ開発促す

香川県三木町がふるさと納税の返礼品を地元企業の成長支援につなげる試みを始めた。返礼品を出品する複数の生産者や事業者を引き合わせ、新商品開発や販路開拓のきっかけを提供する。事業者育成を通じて産業振興にもつなげる。ふるさと納税を通じて地元企業をマッチングさせる試みが実を結べば他の自治体にもヒントになりそうだ。

 艶のある黒いイタリア製の本革、高級メリノウールを使ったニット――。三木町が開設しているふるさと納税のサイトで、同町に本社を置く手袋メーカーのレガンが開発した自転車用のファッション手袋が登場した。

 自転車メーカーであるアイヴエモーション(香川県さぬき市)とのコラボ商品だ。デザイン段階から協力し、街中での走行に適した同社の独自ブランド「タイレル」の愛用者をイメージした手袋に仕上げた。きっかけは両社が三木町のふるさと納税に返礼品を出品したことだった。

 同町は地域の産業振興を目指し、生産者や企業同士を結びつける「kit*uru(きっと売る)プロジェクト」を今年から始めた。返礼品を出品する事業者向けに年4回ほど販路拡大の研修会を開く一方、返礼品の写真撮影会を開催。その場を活用して集まった事業者の交流を促し、新商品の共同開発につなげる。第1弾として名乗りをあげたのがレガンとアイヴエモーションだった。

 レガンはスポーツ用手袋のOEM(相手先ブランドによる生産)が主力で、供給先の依頼を受けた生産が多い。「マッチングがなければコラボ商品は生まれなかった」と歓迎する。アイヴエモーションも「タイレルに特化した手袋は初めて。今後も共同商品を検討している」と話す。

三木町は両社と協力してコラボ商品をPRし、販路開拓も後押しする。同プロジェクトでは現在、町内にある別の2社が第2弾となるコラボ商品を開発中だ。
三木町の2016年度のふるさと納税の寄付額は前年度の87倍の約7億1千万円。返礼品を大幅に拡充した結果、香川県内の自治体でトップの寄付金が集まった。

 だが、総務省は高額な返礼品で寄付を呼び込む自治体の姿勢を問題視し、家具・家電などの返礼品自粛や、寄付金の使途の明確化を求めている。三木町が新たなプロジェクトを始めた背景には「ふるさと納税制度が廃止になっても、自立した地元産業を育成する必要がある」(産業振興課)という危機感がある。

 三木町の人口は2万8千人を下回って減り続けている。子育て支援などとともに地場産業の育成が中長期的に欠かせないことは明らかだ。ふるさと納税を寄付金獲得の手段ではなく、地域振興に向けた一つの突破口にできるのか。さらなる創意工夫が問われる。

記事:2017年10月4日 日本経済新聞

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