豪華列車「四季島」運行半年。予約好調、採算が課題

JR東日本の豪華寝台列車「トランスイート四季島」が1日、運行開始半年を迎えた。利用料は最高1人95万円と高額だが、予約は来年6月末までいっぱい。7月に運行を始めた東京急行電鉄でも予約倍率は最高20倍に達する。人気の一方、初期投資は重く「もうかってはいない」(JR東)状態。あの手この手で収益化を図りつつ、人口減下の沿線振興という長距離運行を覚悟している。

四季島の客室は全17で定員は34人。運行は週2回なので、これまで推定1500人以上が乗車した計算だ。プランは2種類。3泊4日のコースでは東北・北海道を周遊する。途中下車し観光できる利便性から、高齢者の利用が目立つ。

 乗客の中にはJR九州の「ななつ星 in 九州」に乗った経験がある人も多いという。富裕層の鉄道旅行リピーターという需要を取り込んだ。これまで鉄道に興味のなかった層も、豪華列車を機に鉄道旅行への関心を高めている。シェフが乗り込んで作るフランス料理など、食事を楽しみに乗車するファンも多い。

 こうした豪華列車が今、各地で相次ぎ登場している。東急電鉄は7月に豪華列車「ザ・ロイヤルエクスプレス」を投入。寝台列車ではないが、伊豆半島を走る観光列車だ。JR西日本は6月、豪華寝台列車「トワイライトエクスプレス瑞風」の運行を始めた。

 鉄道各社が豪華列車を走らせる狙いは沿線の地域振興にある。鉄道利用者は年200億人超とされるが、本格的な人口減時代に利用者は頭打ち。収益の両輪となってきた沿線の不動産開発の余地も狭まってきている。豪華列車は鉄道への関心を高め、鉄道事業をテコ入れする役割を担う。豪華列車をきっかけに、地方の赤字路線にも旅客が向かう波及効果も見込める。

 足元の採算は厳しい。四季島は関連事業も含め、総額100億円を投じたとされるが、利益貢献はまだ限定的。収益構造は他社も同じだ。

 先駆けて2013年に運行を始めたJR九州は一足早く採算性向上の施策を打っている。例えば「ななつ星」の利用料金は運行開始以来、5回引き上げた。それでも予約申し込みの抽選倍率は今も20倍前後と高い。収益源の多角化を図ろうと、「ななつ星」に九州の人気旅館での宿泊などを組み合わせた「プレミアム旅行商品」やグッズの通販も始めた。

 JR東日本も来年から英語対応のサービス開始を検討するなど、訪日客の獲得に力を入れる方針だ。さらに乗車客を対象に特産品などを売る計画も浮上している。今後は周辺ビジネスの展開でもアイデアの競い合いとなりそうだ。

記事・画像:2017年11月1日 日本経済新聞

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