目を疑う、非現実な空間展

地下深くまで続く「エレベーター」が目の前に突如現れる。迷路のような「試着室」では他者と自分の境界が曖昧になる。その不可思議な世界に思わず「どうなってるの」と驚きの声を連発してしまう。アルゼンチン出身の現代美術家レアンドロ・エルリッヒさんは、作品を通じて鑑賞者が当たり前として持っている現実感覚を揺さぶり、疑問を投げかける。

東京・六本木の森美術館で2018年4月1日まで開催中の「レアンドロ・エルリッヒ展 見ることのリアル」は、約25年のキャリアの中で最大規模となる個展だ。新作や初期作品を含む44点のうち約8割が日本初公開で、創作の全貌に迫る好機となっている。

鏡などの視覚効果を使って、見る人の思い込みを巧みに操るのが真骨頂。常に外に向けて開かれた参加・体験型の作品で、鑑賞者は見るだけにとどまらない。石造りの壁に人がぶら下がっているようにみえる「建物」は、地面に造った実物大の模型を、45度に傾けた巨大な鏡に映り込ませた作品だ。思わず模型の上に寝転んで、現実とは違う鏡の中の自分の姿にカメラを向ける。「作品に参加し楽しんでもらうことを常に考えている」とエルリッヒさん。種も仕掛けも目に見える展示方法で、あっという間に現実世界に引き戻されそうだが、そう簡単にいかないのが不思議だ。頭で分かっていても、一体何が現実なのか区別がつかなくなってしまう。

記事・画像:NIKKEI STYLE

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