岩手企業の「生産者お薦め食材」宅配事業が好調

岩手県の豊かな食材を直接消費者に届ける、注文の多い食材店(盛岡市)の事業が好調だ。生産者が送る食材を決める珍しい方式で、受け取る会員は首都圏だけでなく中国・四国地方まで広がり、開始から半年で80人に増えた。インターネットでの通販にも乗り出した。生産者からの新たな提案が消費者に受け入れられつつある。

 同社は2016年10月の設立。「岩手の食材は高品質なのに首都圏などでの評価が低い」と感じた一般社団法人アグリフードヒルズ協会(同)理事長で同社取締役の重石桂司さんが発起人だ。消費者が欲しいものではなく、生産者が食べてほしいものを直接届ける事業を考えた。

 生産者は送る種類や価格、出荷日を自ら設定。形が不ぞろいなどで、おいしさは変わらないのに価格が安くなってしまう野菜も活用していく。集荷と配達は日本郵便が担い、朝とった食材が翌日には各家庭に届く。

 会員は月額四千数百円の会費(配送料込み)で月1回、4人家族で1週間ほどの分量を受け取ることができる。注文の多い食材店は出荷に当たり、生産者から手数料を受け取らない。

 同社の社名は、宮沢賢治の小説「注文の多い料理店」から名付けた。重石さんは「小説は料理を作る側が客に注文を付ける。社名には生産者が消費者と対等に発言するという思いを込めた」と話す。

 県内の農業生産法人や水産加工会社など約30事業者が出荷者となり、5月に発送を開始。旬の野菜や果物、海産物などを届けてきた。9月は岩手県宮古市に水揚げされた海産物からホタテやマダラなどを詰め合わせた。産地の様子を知ってもらいたいと、市場での競りの模様をネットで中継した。10月は同二戸市からキャベツやブロッコリー、洋ナシなどを送った。

 重石さんは岩手県が欧州各国と同じ北緯40度に位置し、自然環境が似ていることに着目。「岩手は日本のヨーロッパ」をキャッチフレーズに事業を始めた。冷涼な気候のため害虫が少なく農薬の使用を抑えられ、広葉樹による腐葉土が豊富なため化学肥料に頼らないことなどをアピールする。

 定期便には出荷する自治体の観光案内など紹介文を添えている。会員の多くは商品の良さを口コミで知り入会した。

 知名度向上へ、ネット販売にも乗り出した。10月、飲食店向け食材仲介サイト「Mマート」に出店し、加工品販売を始めた。ヤマダ電機の通販サイト「ヤマダモール」への出店も決まった。ギフト商品などを扱う方針だ。

記事:2017年11月30日 日本経済新聞
画像:http://mitsuhashi.deci.jp/

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