訪日客、長野に長期滞在を 官民が利便性向上策

長野県内で外国人観光客の長期滞在を意識したサービスが広がっている。キャッシュレス決済への対応や両替機の充実で支払いをしやすくしたり、体験プログラムの充実で多様な楽しみ方を準備したりする。もともと数週間滞在するスキー客が多いほか、2020年の東京五輪などを機に一定期間滞在する外国人が増えることが想定される。利便性を高め、県内での消費を増やしてもらう。

長野県信用組合(長野市)は16年に提携したコイニー(東京・渋谷)を通じたキャッシュレス決済を支援する。中小の事業者などがスマートフォン(スマホ)やタブレット端末とカードリーダーを用意するだけで、クレジットカードの決済に対応できる。

 5月には県信組を介さずに導入できるように制度を改め、宿泊施設や飲食店などで導入が進んだ。「全国の中でも長野県は(コイニーと店舗間の)契約率が高い」(県信組)という。

 県もキャッシュレス決済の導入を後押しする。11月には山ノ内町商工会と合同でキャッシュレス決済の導入方法を学ぶセミナーを開催した。白馬村では八十二ディーシーカード(長野市)や三菱UFJニコスがキャッシュレス決済の支援を手掛け、山小屋などで導入が進んでいる。

 キャッシュレス経済への対応が進む一方で、現金しか使えない県内の土産店や飲食店が多い店舗も多い。軽井沢プリンスホテルウエストは11月、両替機を充実させた。アクトプロ(東京・千代田)の外貨両替機を導入し、米ドルの他に中国人民元やインドネシアルピアなど12カ国・地域の通貨を交換できるようにした。宿泊客がホテル周辺にある中小事業者の店舗で買い物しやすいように配慮した。

 滞在中に様々なスポーツや文化の体験ができるよう、行政が民間のメニューづくりを後押しする。北陸信越運輸局は12日、長野市内で「インバウンド・サイクルツーリズムセミナー」を開く。観光事業者などを対象に、自転車を使った周遊・滞在型観光を広める手法を専門家などが説明する。

 長野地域振興局は11月、外国人客向けのツアーを企画する旅行会社を招き、長野市内の伝統文化を実体験する研修会を開いた。忍者や古武道の体験、リンゴ狩りなどをPRし、外国人のツアーに組み込んでもらうよう促した。

 観光庁の宿泊旅行統計調査によると、県内での外国人延べ宿泊者数は16年に113万人と初めて100万人を突破。17年1~9月は前年同期比11%増の97万人と一段と増えている。

 今後の課題は長期滞在したい旅行客にどう足を運んでもらうかにある。19年のラグビーワールドカップ日本大会や20年の東京五輪・パラリンピックの際には、観戦を楽しみながら間に日本各地を観光する外国人が増えることが予想される。各都道府県も長期滞在客を念頭に置いた誘客策を進めており、長野の官民も受け入れ体制の整備が必要になっている。

記事・画像:2017年12月5日 日本経済新聞

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