千葉県内のふるさと納税 課題解決型に回帰

千葉県内の自治体がふるさと納税を活用し、地域の課題解決を目指す動きが相次いでいる。柏市は手賀沼の環境改善を目的とした資金集めをスタート。習志野市は障害者や高齢者の雇用創出につながる返礼品を導入した。総務省が高額な返礼品を規制し、ふるさと納税の人気過熱も一服。地域貢献という制度本来の目的に立ち返り、地域に関心を寄せてくれる「応援団」を増やす。

柏市はふるさと納税の寄付金を活用し、天然湖沼の手賀沼周辺の魅力を高める事業に乗り出す。手賀沼に遊覧船の桟橋や野鳥観察用の施設を整備する費用として1000万円、休耕地にヒマワリを植える事業に150万円を集める。トラストバンク(東京・目黒)が運営する寄付仲介サイトを通じ、12月から資金の募集を始めた。

 返礼品として地元の特産品を用意しているが、市の担当者は「返礼品競争には加わらず、街づくりに参加してもらうことで地域の活性化につなげたい」(企画調整課)と説明する。かつて生活排水の影響で水質が悪化していた手賀沼のイメージを向上させ、湖沼周辺を地元の観光拠点に育てたい考えだ。

 これまで柏市は「返礼品競争の過熱は望ましくない」(同)と9月まで返礼品を用意していなかった。だが、柏市民が他自治体に寄付する額が増加し、税金の流出が目立っていたため、返礼品の用意を決めた。

 館山市もトラストバンクを通じ、10月の台風21号で被災した沖ノ島の復興費用を集める取り組みを始めた。目標金額は550万円で、集めた資金はがれきの撤去や進入路の修復費用に充てる。館山湾に浮かぶ周囲1キロメートルの沖ノ島はサンゴが生息する北限とされ、夏場には海水浴場も開設される人気観光スポット。市内外から広く資金を集めることで「早期復旧につながるだけでなく、島のPRも期待できる」(市企画課)という。

 10月に初めて返礼品を取り入れた習志野市は、目玉商品の一つとして市内の障害福祉サービス事業所が製作する木製ベンチを採用した。東京のベッドタウンである習志野市は目立った特産品はないものの「福祉に力を入れているという自負がある」(財政課)。返礼品のラインアップには市シルバー人材センターによる「お墓の掃除代行」もあり、高齢者の仕事創出につながる効果も期待される。

 千葉県内の自治体が16年度に集めたふるさと納税は64億円と前年度に比べて倍増した。高額品やお得感のある商品券を返礼品に採用する自治体が相次ぎ、寄付が大きく伸びた。

 返礼品をめぐる競争の過熱を受け、総務省は今年4月に高額すぎる商品の提供を控えるよう全国の自治体に通知。各自治体は戦略の見直しを迫られている。

記事:2017年12月6日 日本経済新聞
画像:steemit

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