洞窟のクリスマス市場

欧州は今、クリスマスシーズン真っ盛り。大きな町から小さな村落まで、いたるところでクリスマスマーケットがにぎわいをみせる。そんな中で「世界的にも珍しい」と人気を博しているのが、オランダ南部の町ファルケンブルフの巨大洞窟内で開かれるマーケットだ。毎冬恒例の名物となっている。

「まるで地下迷宮みたい」。ドイツから噂を聞いてやってきたというクラウディアさんは、週末ごとに夫婦で様々なクリスマスマーケットを訪れるのが冬の楽しみという。「こんな感覚は初めて」と、ちょっとした“地底探検”の気分を味わいながら買い物を楽しんでいた。

 迷路のように入り組んだ通路の両脇には、クリスマスの飾りやおもちゃ、手づくりの民芸品から、冬物衣料、化粧品や健康グッズまで雑多なお店が並ぶ。チューリップの球根やチーズなどオランダならではの出店も面白い。洞窟内にはレストランやカフェも併設され、暗がりの中で、キャンドルを模した照明を頼りにビールやワインを楽しむ人々であふれていた。

 通路の随所で、サンタクロースや天使、妖精などの人形が買い物客を出迎え、色鮮やかなイルミネーションがクリスマスムードを演出する。大人は7ユーロ(約930円)の入場料がかかるが、周辺国から観光客がひっきりなしに訪れ、混雑時には洞窟の入り口に長い行列ができる。

 ファルケンブルフはドイツやベルギーとの国境に近い小さな町で、ほとんどが低地のオランダでは珍しい丘陵地帯にある。建材に使われる「マール石」の特産地として知られ、約2000年前の古代ローマ時代から石を切り出してきた跡が迷路のような洞窟となって残された。洞窟内のクリスマスマーケットは今回で32回目。壁の至る所に古い壁画や彫刻も施されており、クリスマスマーケットの端々では洞窟の歴史も顔をのぞかせる。町では2カ所の洞窟でマーケットが開かれている。

記事:2017年12月15日 日本経済新聞
画像:http://www.vspiritcruises.com/

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