VR・レプリカで文化財身近に

東京国立博物館(東京・台東)などを運営する国立文化財機構は2018年度から、仮想現実(VR)技術を使った文化財の映像や精巧なレプリカを地方の博物館などに貸し出す事業を始める。公開や移動が制限される貴重な文化財を多くの人が鑑賞できるようにする。貸し出しを新たな収益源にし、文化財の修繕などに充てる狙いもある。

同機構を所管する文化庁が18年度予算案に8億円の事業費を計上した。同機構は企業などと連携して年間で10件ほど映像やレプリカを作り、外部に貸し出す方針だ。

 VRはスクリーンなどに画像を映し、その場にいるかのような疑似体験ができる技術。公開されていない建造物の内観や上空からの眺めを可能にしたり、解説用のアニメキャラクターを登場させたりしやすくなる。

映像などの貸し出しに伴い、17年3月に同機構が作成した文化財データベースも改修する。同機構が運営する4カ所の国立博物館の所蔵品の展示場所や修繕状態を閲覧できるようにし、自治体や企業などが貸し出しを依頼しやすくする。

 各国立博物館には文化財の映像やレプリカで人を呼べる企画を考える「キュレーター」や、文化財の登録や管理をする「レジストラー」など専門人材計35人を配置する。

 各国立博物館は計約13万点の文化財を所蔵するが、外部への貸与は16年で約1560件にとどまる。「地方や海外からの貸与の依頼に応えきれていない」(文化庁)という。国宝や重要文化財が増える中で修繕費用も不足している。同庁は映像などの貸出事業を、文化財保護に充てる新たな収益源に育てたい考えだ。

記事・画像:2018年1月16日 日本経済新聞

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