ハートの絵馬、インスタ映えで若者つかむ

国宝犬山城(愛知県犬山市)の城下町に、国内外から若者が押し寄せている。ハート形の絵馬が数多く掛けられた神社や色とりどりの餡(あん)をのせる団子店など、昨年に流行語大賞となった「インスタ映え」するスポットが火付け役だ。今年は戌(いぬ)年。地元観光協会は「犬山の年になるように」と一層の人気拡大に期待している。

絵馬は表に「縁」と書かれている。同神社の宮司、水谷守さんが女子高生の「おみくじがピンクだったらかわいいのに」との一言をヒントに2012年に考案し、取り入れた。

 水谷さんによると「それほど参拝者が訪れる神社ではなく、存続の危機さえあった」。それを一変させたのが、写真共有サイト「インスタグラム」などSNSへの投稿だ。「かわいくて『インスタ映え』する」と若い女性の間で急速に広まり、数年前から爆発的な人気に。撮影に訪れる若者が途切れないほどだ。

 本町通りにある「茶処くらや」も人気スポットだ。抹茶や小豆味といったカラフルなあんが4つの団子の上にのせられた「恋小町だんご」がお目当てだ。当初の販売は1日10本ほどだったが、今や多い日には1千本が売れる。

 店主の尾辻大志さん(39)は「外国メディアの取材を受けることもあり、世界中から若い観光客が訪れている」と話す。台湾から友人5人と訪れた女子大学生の黄麗君さん(19)もその一人だ。「友人のSNSを見て知った。おいしくてかわいらしいのが日本らしい」とスマートフォンで写真に収めていた。

 こうした「インスタ映え」効果は犬山城への入場者数も押し上げているようだ。築城450周年の1987年に47万人が足を運んだが、2003年には19万人台に低迷。ここ10年ほどは名古屋鉄道とのタイアップなどで回復傾向にあり、昨年は若者らの来場が増えて過去最多の57万人となった。

 年配の観光客が多かった城下町だが、犬山市観光協会の後藤真司さん(38)は「この1年で若い女性が急増した。写真撮影目的で平日も全国から来ているようだ」と分析する。今年のえとの戌にちなみ、「全国で唯一、『犬』が付く自治体としてもっと多くの人に訪れてもらえるよう、次の一手を考えたい」と話す。

記事・画像:2018年2月5日 日本経済新聞

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