川越市 「稼ぐ街」へ転換不可欠

2017年に埼玉県川越市を訪れた観光客の数が16年を大幅に下回ったもようだ。大型イベント時に雨天が重なったのが主因だが、近年は増加傾向が続き、20年の東京五輪に向けて勢いづいていた同市としては手痛い減速。東京都心から日帰り可能な利便性が売り物だけに、天候に左右されやすい観光基盤の脆弱さの克服が課題だ。

蔵造りの街並みが「小江戸」と呼ばれ、観光客を伸ばしてきた川越市。16年には過去最高の704万人を記録したが、17年は640万人程度(最終集計中)にとどまったようだ。客が最も多い10月の川越氷川祭が雨で前年比20万人以上減ったのをはじめ、秋の長雨が集客に響いた。

 雨で客足が鈍るのは日帰り観光地の宿命ともいえるが、同市が東京五輪を機に国際観光都市として競争力を高めるには「雨でも稼げる街」への転換が不可欠だ。観光政策に詳しい小西美術工芸社のデービッド・アトキンソン社長も著書で「観光客数より観光収入」と「稼ぐ力」の重要性を説く。

 市の16年のアンケート調査によると、川越市の1人当たり平均観光消費額は4045円。首都圏の観光都市、横浜市は算出方法が異なり単純比較できないものの、8841円と2倍以上に上る。川越市幹部は「宿泊需要の取り込みに大きな差がある」と分析する。

 夜間の飲食なども含め消費を押し上げる宿泊客をどう確保するか。JR川越駅周辺では東武鉄道グループが西口に新たなホテルを計画するなど、東京五輪に伴う需要増をにらんだ動きも出てきた。市などは中心市街地のライトアップや共通チケットで複数の飲食店を食べ歩きできる「街バル」など夜のにぎわい創出で呼応するが、単発のイベントでは限界がある。

 カギになるのは訪日外国人客だ。17年の観光客は訪日客に限れば16年を上回ったようだ。市は公衆無線LAN「wi-fi(ワイファイ)」の整備や観光案内の多言語化のほか、富裕層が多いインドネシア向けのPR動画を作成するなど訪日客の取り込み策を急ピッチで進めている。

記事・画像:2018年2月6日 日本経済新聞

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