バイト、事前体験で理解深めて

アルバイト求人サイトを運営するディップはサイト「バイトル」などの求人ページで、求職者が「しごと体験」と「職場見学」に応募できる機能を始めた。求人に応募する前に業務や職場を体験することで理解を深めてもらい、ミスマッチによる早期離職を防ぐ。サイトを使う希望者と企業の双方の満足度を高めるため、一歩手前ともいえる機能を充実した。

アルバイト希望者は通常の求人そのものへの応募とは別に「しごと体験」や「職場見学」に無料で応募ができる。求人面接に応募する前に仕事の実際の様子や職場の雰囲気を体験・見学できる。

しごと体験は「日雇い型のアルバイト」と同じ扱いになるため、書面による雇用契約を結ぶ必要がある。就労時間は企業が設定することができ、30分あたり1000円といった具合に、実際の給料も支払われる。

企業側は新機能に伴ってディップに新たな手数料を払う必要はない。このため新機能に関するディップの直接の収入はない。それでも始めた背景には、ミスマッチを減らすことが求人サイトの付加価値として必要だという判断がある。

ディップが実施した「3年以内に経験したアルバイト・パート」についてのアンケートによると、約7割の回答者が1年未満でアルバイトを離職しているという。理由には「店長と合わなかった」「職場の雰囲気が合わなかった」など人間関係・職場環境のミスマッチがあげられた。

 通常の応募では、実際の職場を目にする前に面接が行われるため、職場環境への不安要素があると応募自体をちゅうちょしてしまうことも少なくない。メディアプロデュース統括部の笠松利旭部長は「興味を持ってもらえたにも関わらず、応募までつながらないのは、募集をかけている企業にとっても機会損失となっていた」と話す。

 新機能により、企業も希望者が実際に働いている様子を目にすることで、採用後に活躍してくれそうかなどを判断しやすくなる。求職者と企業側の双方が合意した場合、しごと体験や職場見学の直後に面接を実施することができる。採用までの期間短縮につながるほか、何より仕事内容や職場の雰囲気を理解した上で面接を実施できるため、採用後のギャップも小さくなり定着率向上に期待ができる。

 もちろん企業は通常業務の合間に体験・見学を受け入れる負担が生じる。ただ人手不足で採用が一段と難しくなる中「しっかりと業務を理解したうえで入社してもらい、一定期間アルバイトを続けてもらうほうが、長い目では採用コストが下がると考える企業も今は多い」(笠松部長)。

 最近は職場を広く公開することが、雇用主としての企業イメージを高める「採用ブランディング」の一環としても注目を集めている。日本マクドナルドがアルバイトの事前体験会を実施したり、職場を仮想現実(VR)で紹介するサービスも登場したりするなど、採用前の求職者に手厚い取り組みは徐々に増えている。ディップの新機能のような仕掛けはネット求人市場で増える可能性がある。

記事・画像:2018年3月7日 日本経済新聞

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