アニメ「らき☆すた」経済効果なんと31億!観光資源がない地方でも観光客を誘致

「聖地巡礼」はコンテンツツーリズムの一種と捉えることが出来る
「聖地巡礼」と言うと一般的には宗教上の聖地を訪れ、聖なるものへより近づこうとする行為を言います。日本では四国八十八ヶ所の巡礼、ヒンドゥー教ではガンジス河での沐浴、イスラム教ではメッカのカアバ神殿に行くなどがこれにあたりますが、今回ご説明する「聖地巡礼」とは、アニメに登場する土地、場所、建物をファンが訪れる行為 を言います。

ファンが映画、ドラマ、小説などに登場する土地、場所、建物を訪れる行為は、コンテンツツーリズムやロケツーリズムと呼ばれ、日本ではもともと大河ドラマの舞台となった土地、連続テレビ小説のロケ地などが人気となり、多くの観光客が現地を訪れ経済効果をもたらしています。近年注目されるようになった「聖地巡礼」は、こうしたファンの行動を宗教上の「聖地巡礼」とかけて、こう表現するようになったものです。

過去にはこんな「聖地巡礼」があった
「聖地巡礼」の始まりは諸説ありますが、経済的にも大きな波及効果をもたらし「聖地巡礼」に大きな注目が集まるきっかけとなったのは、女子高校生の日常を描いた「らき☆すた」 です。物語の舞台となるのは埼玉県久喜市で、特に旧北葛飾郡鷲宮町にある鷲宮神社はその中心地としてファンに大変な人気の観光地となりました。

また 茨城県大洗町を舞台にした「ガールズ&パンツァー」 は、もともとアニメファンと人気の高い第二次世界大戦中に登場した戦車と、女の子を組み合わせたユニークな世界観で人気となりました。作品の中に登場するのは、役場などの協力によって忠実に描かれる大洗町の町並みや施設 です。

また 静岡県沼津市を舞台とした「ラブライブ!サンシャイン!!」 は、スクールアイドルの物語ですが、地元でも元々人気のあった水族館である伊豆・三津シーパラダイスなどの観光施設だけでなく、物語本編で頻繁に登場する長井崎中学校も聖地となっています。

また直近では、興行収入240億円を突破したことで大きな話題となった 「君の名は。」で最も有名な場所である四ツ谷の須賀神社前階段なども「聖地巡礼」の人気スポット となっています。

「聖地巡礼」に訪れたファンは何をしている?
「聖地」を訪れたファン達は実際にそのアニメで舞台となった土地、場所、建物を訪れ、作品の雰囲気を感じる、写真撮影などを行うわけですが、当然その土地の観光も行います。訪れた「聖地」の付近の観光地を訪れたり、その地域の名産品、特産品を食べたり、中には作品中に登場するお店を訪れたりという形で、ファン達は「聖地」での観光を楽しんで います。

こうしたファン達の行動に目をつけ、地元では「聖地巡礼」のための、「聖地巡礼マップ」の作成を進めたり、アニメのキャラクターが描かれたラッピング電車、地域の名産品と作品のタイアップ、地域限定グッズの発売などに力を入れています。またファン同士、ファンと地域を結びつけるために交流ノートを設置したり、「聖地巡礼」に訪れたファンに、その作品の背景にある町の魅力をわかりやすく伝える工夫がされています。

「聖地巡礼」の経済効果は31億円!?
「聖地巡礼」によって実際に地域にはどのような経済効果があるのか?という事に関しては株式会社日本政策投資銀行が試算を行っています。ポイントとなるのは 「聖地」はファンにとっては一過性のものではなく、アニメ作品が人気の作品であれば、その経済波及効果も持続していく ということです。

日本政策投資銀行は「らき☆すた」について、埼玉県久喜市商工会鷲宮支所の資料の数値を元に試算を行っています。これによると、試算内容は様々な過程に基づいているために留意が必用としながらも、テレビ放送以来の10年間での経済波及効果は約31億円。消費等最終需要により誘発された雇用者数は約316名である としています。これは地元の商工会の継続的なファン獲得の工夫、ファンとの交流が長期継続していることなどが要因であるようです。

「聖地巡礼」による弊害はあるのか?
経済効果もある「聖地巡礼」について、人気が出過ぎることの弊害 は残念ながらあるようです。そもそも「聖地巡礼」の場合、アニメを知らない人達からすると 観光地、観光名所ではない場所に大量に地元民以外の観光客が訪れる ということで、人気になった経緯を知らない地元民からは「撮影する人が最近増えた」「深夜、早朝に騒いでいる人が増えた」といった苦情 以外にも、アニメの中で登場した実在の高校の構内にファンが不法侵入して撮影を行う、実在する学校の生徒を無断で撮影する、男性ファンによる女装コスプレなどが問題になったこともありました。

「聖地巡礼」は地方の観光の起爆剤になるが、扱いには注意が必用
今までご紹介してきたように、「聖地巡礼」は、今まで観光とは無縁だった地方の町に、国内外からの観光客を呼び込む起爆剤 になりえます。しかし注意が必用なのは、こうして集まったアニメファンによる騒音、無秩序な撮影が行われる可能性 もあるということです。経済的にプラスの側面もありますが、公共交通機関である電車やバスのラッピング、スタンプラリーの開催などアニメ・アニメキャラクターを全面に押し出す事によって、そうしたものを好まない観光客の足が遠のくといったリスク も抱えています。「聖地巡礼」による経済活性化を成功させるには地元住民を巻き込むこと、ファンにも作品だけでなく、作品の舞台にも敬意を払うことを呼びかけるなどの工夫が必用です。

記事:訪日ラボ
画像:http://i.meet-i.com/

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