その「ジビエ」違法かも 許可施設以外で解体

イノシシやシカなどの野生鳥獣肉を食材とするジビエ料理が身近になる中、適切に処理されていない「違法ジビエ」を売るハンターが後を絶たない。処理を怠った野生動物の肉を食べると、E型肝炎ウイルスや寄生虫に感染し、肝炎や食中毒を起こす恐れがある。政府は安全な供給体制をつくるため、認証制度の導入に乗り出した。

 ハンターらが狩猟肉を個人で消費する場合には処理方法に関する法的な制約はないが、販売するには、食品衛生法に基づき、食肉処理業などの許可を受けた解体施設で衛生的に解体する必要がある。それ以外の場所で処理した食肉を販売すれば同法違反にあたり、「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」が科せられる可能性がある。ジビエブームを背景に、猟で山中に入ったハンターがその場で野生鳥獣を解体し、飲食店や消費者に直接販売する違法ジビエが横行している。

農林水産省の調査によると、イノシシの卸売り価格は1キロあたり3千~5千円程度、シカは同2千~3千円程度。ある解体業者は「違法ジビエと知りながら、市場価格より安値で買い取る飲食店もある」と明かす。

野生鳥獣はE型肝炎ウイルスや寄生虫を保有している場合がある。2016年には茨城県の飲食店でハンターが持ち込んだクマ肉を食べた15人が寄生虫に感染し、食中毒を発症した。

野生鳥獣による農作物被害を食い止めようと、国や自治体は捕獲数を増やす取り組みを進めており、環境省によると、イノシシとシカの捕獲数は15年度で117万頭。10年間で約2.5倍に増えた。捕獲鳥獣の食肉利用は1割程度にとどまっているが、農水省は19年度にジビエ利用量を倍増させる計画だ。

 農水省は5月、安全なジビエを普及させるため「国産ジビエ認証制度」を導入した。厚生労働省の衛生管理ガイドラインの順守などの要件を満たした解体施設に認証を与え、流通する食肉には認証マークが貼られる。全国17カ所のジビエ利用モデル地区が安全なジビエ供給を先導し、認証申請の拡大につなげる。

記事・画像:2018年5月29日 日本経済新聞

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