新潟県燕市、人気テレビ番組になぞらえ地域PR

土地に詳しい人と一緒に町をぶらりと歩いて、知られざる歴史を探る「ブラツバメ」や、地図にダーツを投げて当たった地域を訪れて住民とふれあう「燕市ダーツの旅」――。いずれもテレビの人気番組をまねた新潟県燕市のPR動画だ。市の職員が脚本や撮影を担当して、少しでも多くの人に地元を知ってもらおうと奮闘している。

「大河津分水路はどうしてこの場所にできたのか?」。出演する地元の小学生が、動画の冒頭でカメラマンから渡された箱を開けると「お題」が書かれた巻物が出てくる。ブラツバメの一場面だ。大河津分水の歴史を伝える民間団体「Love River Net(ラブリバーネット)」代表の樋口勲さんが一緒に資料館などを訪れて、歴史的な経緯を説明する。

テレビ番組と違ってセリフが棒読みなのは、制作の全てを同市職員が担っているからだ。5人が撮影やマイク、編集を分担し、これまでに「大河津分水路編」と「水道の塔編」の2編を動画サイト「ユーチューブ」で公開している。

ブラツバメの制作はもともと、市内の交流人口拡大を目的に始まった。教育にも生かされており、収録したDVDを市内の小学校などに無料配布している。動画制作には1本3~4カ月ほどかかるが、今後も随時更新していくという。

「燕市中島にいってらっしゃい」。ダーツの旅は200以上の地区がある燕市の地図にダーツを投げ、市の職員などが当たった場所を訪れる。金属加工業など地域の企業を取り上げるほか、偶然出会った住民との交流を紹介する。1回あたり15分ほどの長さで、9回にわたって配信してきた。

 動画の舞台はいずれも田園風景が広がる場所で、なかなか住民に出会えない。ただ、「みんなと同じようにだんだん人口が減っていることがこの地区の特徴」と話す住民など、個性豊かな出演者が視聴者を飽きさせない。なかには古文書など文化的価値がある「お宝」も登場するなど、驚きもある。

 人気番組を活用したPRを展開するのは「市内外の人に親しみやすさをもってもらうため」(市の担当者)。近年は工場見学に訪れる外国人観光客が増えている。

 歴史的遺産や景勝地などの観光資源が乏しい弱点を逆手にとって「あえてどこにでもあるような場所を紹介し、生活感を前面に出した」(同)という。視聴数はじわじわと増えており、移住者の増加につなげたい考えだ。ちなみに動画の「本家」に当たる番組を放映しているテレビ局からは、いずれも黙認されているという。

記事・画像:2018年7月4日 日本経済新聞

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